「起こるべくして起きたのではないか」救急車が“居眠り”で横転事故 17時間ぶっ通し勤務だった
井上貴博キャスター:
救急車の横転事故が12月29日に発生しました。救急隊員全員が軽いけがを負っています。事故原因は居眠りとみられていますが、「起こるべくして起きたのではないか」と言われています。前日12月28日の朝出勤して7件の搬送を担当、17時間ほぼ休みなく勤務を行っていました。
運転していた東京消防庁の救急隊員(50代)「眠気に襲われて中央分離帯にぶつかってしまった」

コロナ禍に入ってから救急搬送困難事案という言葉をよく聞くようになりました。
【東京都 救急搬送困難事案】※総務省消防庁より
2022年10月24日~10月30日:1252件
2023年1月2日~1月9日:3248件(約2.6倍増加)
また、全国的にこういったステッカーを貼っているところがあるようです。
【川崎市消防局のステッカー】
救急隊員 イート&ドリンクタイム
※食事や水分補給、トイレをお借りしております。御理解、御協力をお願い致します。
コンビニエンスストアでの休憩について、ステッカーを車両に貼って、理解を求めなければいけない救助隊が増えています。

ひっ迫していた1月2日の週の横浜市消防局です。
▼救急=5871件 出動
▼ひとつの搬送先が見つかるまでに救急隊員が約30件の電話をかけた場合も
▼搬送時、路上待機などで4時間かかった事例も
▼昼食=搬送先にある病院のコンビニで購入→5分で食べ終える
▼夕食=休憩時間が取れず夜12時を過ぎることも
▼救急隊員のシフトに消防隊員が応援で来てもらう形で負担軽減
全てのしわ寄せが現場に行っていることがわかります。
ホラン千秋キャスター:
救急隊員の状況を変えるために、何か政府として動いていることなどはあるんでしょうか?
TBSスペシャルコメンテーター 星浩氏:
保健所や救急病院、救急隊員など、一部の人に異常な負荷がかかっているのはよくないですよね。本来は色んな制度の見直しや応援の体制作りをしなくちゃいけないんですけども、今の政府の対応を見ていると、ピークが過ぎるのを待ってる状況なんですね。いずれピークアウトしてくるだろうと。そうすると段々日常化してきて、マスクの規制緩和などに乗り出すということで、そのために一部の人にしわ寄せがくることはあまりよくない対応だと思いますね。
ホランキャスター:
病院側も受け入れたい気持ちはあると思うんですけれども、状況がいっぱいいっぱいということなんでしょうか?
国際医療福祉大学感染症学講座 松本哲哉 主任教授:
もともと冬は、通常でも心筋梗塞や脳梗塞など、救急で受け入れなきゃいけない人は増えるが、コロナの影響で、医療機関側も医療従事者が感染したり濃厚接触者になったり、通常の診療体制のレベルを落とさなきゃいけない状況になっています。そういう中で患者さんを全部受け入れたいと思っても、どの医療機関でもそうなんでしょうけど、残念ながらもう患者さんは埋まっているし、ベッドも空かないということで、お断りせざるを得ない医療機関が増えてくる。結局どこに電話しても断られてしまうのが現状だと思います。
ホランキャスター:
そうすると助からない命も増えてきてしまうということなんでしょうか。
松本主任教授:
本来、早く来てもらえれば早く処置ができて助かったのに、時間がかかってしまったがゆえに助かるはずの命が助からないということはあり得ると思います。