"命に関わる病気になっても、助けることもできない"

拉致被害者 曽我ひとみさん(2026年7月3日・札幌市西区)

こうして私の体験したことを話してみると、よく24年間無事に生き延びてこれたなと自分自身を褒めたいくらいです。

家族全員が無事に生きてこれた1番の要因は、何と言っても大きな病気を誰もしなかったことではないでしょうか。

医療技術というより、医療施設・医療設備がお粗末な点が深刻です。日本のように健康診断という制度があるならまだしも、症状が出てから病院に行っても詳しい診察をしてくれるわけもなく、またそれだけの設備が整った病院が近くにないからでもあります。

私と同じアパートに住んでいた人がいました。初期症状は熱もないのに咳が止まらないことから病院に行ったのですが、診断は風邪でした。処方された薬を飲んでも症状は改善されませんでした。日にちが経つにつれ何度か病院に診察に行きましたが、一向に変化のない診断が下されたままでした。

日に日に衰弱していき、ついに高熱を出し入院することになりました。しかしその時にはもう末期の肺がんで、手の施しようがなかったのでした。

思えば彼女もだまされて拉致され、自分の人生を捻じ曲げられた1人です。夢見た未来があり、やりたいことがあったはずです。平均的な寿命から見てもまだまだ生きられたはずなのです。なんて理不尽な人生なのだろうと、悔しくてたまりません。