"お米って白いんだね、と娘たちはびっくりしていました"

拉致被害者 曽我ひとみさん(2026年7月3日・札幌市西区)

買い物するのも大変でした。月に1、2回買い物に行ければ良い方です。指導員に買い物に行きたいことを事前に頼んでおき、日程が合えば車が迎えに来てくれました。この後またいつ買い物に出られるか分からないので、買い物リストを見ながら買いだめをしていました。

それでも足りないものがある時は我慢をするか、闇市にこっそりと行くしかなかったのです。闇市に行ったことが分かると指導員から怒られるし、外出が難しくなるので相当の気疲れがあるのですが、安いものを買い求めるのは、どこの国の主婦も皆同じです。

闇市での失敗談を1つ。中身の見えないものは簡単に買ってはならないと思いつつ、娘の誕生日ケーキを焼くために、どうしても買わないといけないとの思いから、卵を購入したことがありました。

家に帰って早速割ってみると、ひよこになりかけのものが出てきました。もう1つ割ってみると、ドロドロに腐っていました。

今のように好きな時に好きな店に買い物に行くなんてできませんでした。買い物1つとっても日本の食品は安心して購入できる。そんな日本に住んでいる皆さんは幸せなんだということを再確認してください。

また、主食となる米も日本では考えられないほど粗雑なものでした。北では白い米など目にすることはありませんでした。米に小石を混ぜてかさ上げされたものが配られたり、虫がたくさん混じった米が配られたりすることが日常茶飯事でした。いつしか虫と石を取り除くのが私の仕事となっていました。

インドネシアで家族と再会した日、日本から米を持っていきました。初めて見る日本の米に娘たちは「お米って白いんだね」とびっくりしていました。炊いている最中には「変な匂いがしないんだね」と炊き上がるのを楽しみにしていました。そして食事を一口食べて「すごく美味しい。こんなに美味しいご飯食べたの初めて。おかずはなくてもご飯だけでも食べられるね」と、とても喜んでいたことを思い出します。