茶の湯との出会い~一つの招待が人生を変えた

畠山一清が茶の湯の世界へ踏み込むきっかけは、三井物産の大番頭であり茶人でもあった益田孝の誘いだった。

1935年(昭和10)に荏原製作所でストライキが起き、転居を繰り返し、精神的にも肉体的にも疲れ切っていた畠山を自宅の茶室に招いたのだ。

本阿弥光悦が作った由緒ある茶碗で、茶を楽しんだ畠山は、茶の湯に心を癒され、その奥深さに魅力を感じた。

美術館の敷地にある畠山一清像

実はこの茶碗、所有者の益田本人も使ったことがなく、畠山のために初めて使ったのだという。

自ら「鈍翁」と名乗った益田にあやかり、一清は「即翁」を号したともいわれる。一つの茶会への招待が、その後の膨大なコレクション形成の原点となったのだから、人生の転機とはつくづく予測しがたいものである。