なぜ1日の死者数500人超"隠れ陽性者"の影響?

井上キャスター:
ここからは、日本国内のデータを見ていきます。1日あたりに発表される死亡者数です。14日に過去最多503人となりました。それ以外にも死亡者が増えてきている部分について話を進めます。

では第7波と第8波の検査陽性者を比べてみると、表に出ている人数であれば第8波の方が少ないようにも見えます。しかし、第7派から第8派に変わるときに全数把握をやめていますので、検査陽性者の実態は3倍、4倍いるのではないかと言われています。
次に死亡者数を比べてみますと、第7波時の1日の最多死亡者数は347人、第8波が503人ということで、こういったところに前回との差が現れているのではないかと言われているわけです。
ホランキャスター:
岡さん、亡くなってしまう方が増えている現状について、その背景にはどのような原因が考えられるのでしょうか?
埼玉医科大学総合医療センター岡さん:
死亡率は低いです。実際にかかってコロナが原因で亡くなる方は、基本的にはワクチンを打っていない方、それから超高齢者、そして重たい持病を持っている方になります。しかし、コロナに感染しなければ、もう少し長生きできた方が多いのも事実です。
そして、今の死亡者数は少なくとも感染者数よりも実態を反映していると思います。そういう意味で、我々の現場感覚だと(実際の)感染者は相当数いると思っています。
ホランキャスター:
現場にいて第8波の課題はどんなところに感じますか?
埼玉医科大学総合医療センター岡さん:
感染力が圧倒的に強いです。例えば、病院の中で1人陽性の患者さんが入ってしまうと、大部屋の中の患者さんはみんな感染してしまいます。そして医療スタッフもほとんど感染してしまう。そうすると、新しい患者さんの入院を受け入れられないとか、救急現場が止まってしまうとか、感染力そのものによる弊害に医療現場としては悩まされています。
井上キャスター:
岡さん、先ほど肺炎で亡くなる方よりも衰弱死で亡くなる方が圧倒的に多いと指摘されてました。しかし、今も入院基準がデルタ株の基準と変わらないと聞いています。酸素飽和度を基準にしていると。衰弱死などを早めに救っていけるような基準に変えていかなければならないのではないかと思うんですけれども、そのあたりはどのような見解をお持ちですか?
埼玉医科大学総合医療センター岡さん:
基本的には今、衰弱されてあるいは基礎疾患の持病が悪化して亡くなる方が増えています。感染し数日で亡くなってしまうような方が、感染しなければ数か月は延命できたかもしれない。そういった方に関しては早く診断をして、場合によっては、パキロビッドという薬あるいはラゲブリオという治療薬がありますので、そういった治療薬をしっかり投与していただくことが重要。そのためには、診断と治療が受けられる体制作りを維持しておくことは極めて重要だと思います。