中国がここ1か月の死者数を発表も、6万人という数字に中国SNSでは疑問の声も出ているようです。突然発表、その背景について医師とともに考えます。

中国政府 死者6万人発表 SNSでは"もっと多い"の声も

井上貴博キャスター:
明らかに実態が反映されていない、正確な情報が出てこない中で中国に世界が振り回されている状況が続いています。

死亡者数の発表です(中国疾病予防コントロールセンターより)。以前までは中国の公式発表としては1日1人~5人、9日以降は公表もされていませんでした。

そこで14日、一転して中国政府は今度は12月8日~1月12日の1か月間というくくりで、病院で亡くなった方が約6万人と発表しました。それにしても、中国は14億人の人口を抱える国でこの人数です。

中国政府としては「より科学的、客観的に事実に基づいて反映させるため、専門家を組織した。系統的な分析をしたため、比較的長い時間がかかった」と発表が遅れたことについて述べています。

このタイミングで発表したことについて、中国寄りとも言われていたWHO(世界保健機関)からも繰り返し透明性のあるデータの提供を求められていました。これを受ける形で適切な情報公開をあくまでアピールした形ではないかということが見えてくるわけです。

今回の発表について、WHOテドロス事務局長は14日にWHOの声明より一定の評価をしています。

今後も透明性の高いデータの共有を求めるわけですが、本当に1か月で6万人という人数は、実態を表しているのか。

中国国内のSNSです。「発表文間違えてるだろ。1か月の人数ではなくて毎日の数だと思う」「ゼロ(桁が)1つ足りないのでは」「(中国政府は)信頼を失っている。何を言っても誰も信じない」

医療現場では「政府から情報が入ってこないので、医者でも正確な数字はわからないが、感染状況などから考えると発表されたデータには疑問が残る」と、ここぐらいしか言えないと上海の日本人医師は話しています。

そして全体の感染者はどのくらいになったのか。

中国メディアによると、北京大学の研究チームによる報告書では、1月11日の時点で国内の感染者が累計で約9億人に達し、感染率は64%。流行のピークは2022年12月20日であると。

爆発的に広がりましたので、14億人の国内でピークアウトも早かったのではないかというような考え方です。

中国政府としてはあくまでも情報統制。報告書に関する関連記事は、一部サイトから情報を削除。情報統制の可能性もずっと続いているわけです。

ホラン千秋キャスター:
ウルヴェさん、中国としては中国なりの情報を発信しているつもりなのかもしれないですけれど、その正確さについて日本を含め世界的に信用できないような状況が続いていますよね。

スポーツ心理学者(博士)田中ウルヴェ京さん:
私たちが知りたいのは数だけでなく、どのような株が流行っているのか。なぜならば、新型コロナウイルスはどんどん変異しながら生き延びていくことを一般の私たちも知り始めています。そうすると、新しい株ができればできるほど、混ざったものができればできるほど早めにその対策をしたいわけなので、そのことを教えてくれることこそ本来は国威を見せることだと思います。そのあたりが中国の国威を見せる、力を見せるやり方が少し違うようで、本当に頼むからデータが欲しいということですよね。

ホランキャスター:
岡さん、こういった正しい情報がおそらく発表されていないことが医療現場にもたらす影響はどんなところがあるのでしょうか?

埼玉医科大学総合医療センター岡秀昭さん:
経験がないと、推測で物事を判断するしかなくなります。そうなると、正しい情報から間違ったものまで流れ、中には楽観的な情報にとらわれてしまう人も。日本でいえば、ワクチンが有効ではないとか、あるいはワクチンを打つと感染しやすいとか、亡くなっている人はコロナは関係してないとか。そういった現場の実態とは違うデマに惑わされてしまう。やはり正確な情報提供は必要ではないかと思ってます。