「借りたものは返す」 回復の継続は "埋め合わせ"が鍵

回復にはもう一つ、見落とされがちな重要な要素がある。田中氏が「埋め合わせ」と呼ぶもの、すなわち "借りたものは返す" という行為だ。

「回復し続ける人と、そうでない人の違いを考えたとき、一つ見えてきたことがある。借金の埋め合わせをきちんとやっているかどうか、それが大きな違いだ」

銀行への借金は、自己破産という最悪のかたちではあるが、法的な処理の道がある。しかし友人や知人、かつての配偶者から借りたお金は別だ。

「自分が踏み倒していることは、本人が一番分かっている。その声を聞きたくなくて、またギャンブルをして自分をごまかす。その悪循環から抜け出すために、埋め合わせが必要になる」と田中氏は言う。

Bさんも、セミナーの締めくくりでこう述べた。

「今まで傷つけてきた人への謝罪、借金の返済。すべて完全には終わっていない。でも、誠心誠意向き合って、再構築できるようにしていきたい」

7月からは就職も決まっている。生活保護を受けながら回復活動を続けてきたBさんが、社会への一歩を踏み出す。「こんなに変われるとは、1年前には思いもしなかった」という言葉に、偽りはないと信じたい。