沖縄に、ギャンブル依存症の家族を支える場所が生まれた。全国44都道府県で活動を続けてきた「全国ギャンブル依存症家族の会」が、45番目の拠点として沖縄での家族会を立ち上げた記念のセミナーが開催された。会場には当事者、家族、支援者らが集まり、ギャンブル依存症からの回復が決して夢物語ではないことを、実体験とともに訴えた。
まさかギャンブル依存症とは思っていなかった
「釣り銭を使ってしまった。絶対に返すから」―。
その電話を受けたとき、沖縄県在住のA子さんは、まだ事の深刻さを理解できていなかった。息子のBさんが県外から沖縄に戻ってきた2019年11月、150万円の借金があるという告白を受けた。だがA子さんは「精神的に病まずにいるなら、お金の問題さえ解決すればなんとかなる」と軽く受け止めていた。
債務整理を進めながら様子を見ていたA子さんの前に、次々と異変が訪れる。2023年1月、借金問題が解決しないうちに突然の結婚報告。そして息子が働いていたキッチンカーからの着服発覚。最初の着服額は「釣り銭」レベルだったが、わずか2か月後には50万円にまで膨らんでいた。
「このままでは、私たちの手に負えなくなっていく」
そう直感したA子さんは、Bさんと元妻、そして自分の3人でキッチンカーのオーナー宅へ出向き、頭を下げた。「警察に届け出を出して事件にしてください」とまで言った。幸いオーナーは寛大で、事件にはならなかった。しかしA子さんの心には、「今まで想像もしていなかった経験」の重さが残り続けた。沖縄の言葉で言う"ゆいまーる(助け合い)の精神"が、その場では辛うじて機能した。だがギャンブルは止まらなかった。














