美紅を開発した弘前大学のほかに、板柳町でも品種改良は盛んに行われています。

※今野七海記者
「こちらは板柳町生まれのリンゴ、明秋(めいしゅう)です。サンふじと比べて、濃い赤色が特徴です」

2018年に誕生した明秋は、大玉で濃い赤色をしている大紅栄(だいこうえい)をふじとかけあわせた品種です。

※今野七海記者
「ふじよりさっぱりした甘さで美味しいです」

明秋を開発したのは板柳町に住む、桜庭保夫さん(89)
県職員としてリンゴの生産指導などに携わり、定年退職したあと品種改良に取り組みました。突き動かしたのは、農作業を少しでも省力化できるようにしたいという一心です。

とくに、色付きをよくするために葉をつみとる「葉取り」は1個ずつ手作業で行わなければなりません。

※青森県板柳町りんご新品種育成研究会 桜庭保夫会長
「葉取りは、相当時間がかかる。年をとった農家はリンゴ作りをもうやめたと、いっぱい木を切っている人がいる。それは、そういう作業ができないからやめている。その作業をしなくてもいいリンゴがあるならいい」

明秋は葉取りはほとんど、袋かけはまったく行わなくても十分、色がつき、栽培する手間は有袋のふじに比べておよそ6分の1ですむといいます。

いまは、生産量がまだ少ないため、板柳町農産物直売アンテナショップ「とれたて市」などで販売していて、知名度は徐々に高まっています。

※青森県板柳町りんご新品種育成研究会 桜庭保夫会長
「摘果しなくても適当にマメコバチに預けておけばリンゴがなるような木を育てたいな」「そして、リンゴ作りを辞めたという人がなくなればいいな」

こうした特徴ある新品種の誕生は、新たな需要を生み出すことにつながり、リンゴ産業全体の裾野を広げることに大きく貢献しています。



リンゴは世界に1万5千品種以上あり、このうち、県内で農家が多く栽培しているのは50品種程度だということです。
新たに誕生した新品種も淘汰されていきますが、美紅と明秋、さらなる広がりを期待したいです。