緩衝地帯「イエローライン」すら越えて攻撃

ヒズボラ「精鋭特殊部隊」に所属していた戦闘員の葬儀が執り行われていた。5月24日、レバノン南部で爆撃され、死亡したという。

棺は、ヒズボラのマークが描かれた黄色い布で包まれ、運ばれていく。棺の後ろで担ぎ上げられ、遺影を掲げる少年がいた。死亡した戦闘員の息子とみられる。少年は周りの大人に促され、カメラに向かってVサインをした。

こうした殉教者の存在は、戦意高揚に繋がっている。

街中には大きな文字で、「我々は敗北しない。殉教する時は勝利する時だ」と書かれていた。

ヒズボラは、殉教者を反イスラエルの象徴的な存在としている。この地区に2025年に作られた霊廟には、既に600人もの戦闘員が祀られているという。

4月8日にレバノン侵攻を本格化させたイスラエルだが、16日にはアメリカの仲介により、レバノン政府との間で停戦合意が結ばれた。

しかし、ヒズボラが実権を握るレバノン南部では、攻撃の応酬は止まなかった。

国連は2000年にイスラエルとレバノン国境に沿って、ブルーラインを定め、現地で監視を続けてきた。

しかし、今回イスラエルはそのブルーラインを突破して侵攻した。

南部を移動中、国境を監視する国連の駐留軍の車列とすれ違った。国連軍はイスラエルの侵攻になすすべがないのが現実で、2026年いっぱいで活動を終える予定だ。

さらに、イスラエルは4月18日、既に軍が侵攻していた「レバノン南部の地域を緩衝地帯にした」と一方的に表明。「イエローライン」と呼ばれ、住民は立ち退きを求められているが、攻撃はその境界すら越えて行われている。

攻撃の実態を取材するため、レバノン南部に向かった。