首都圏の大型ホール休館と地方ホールの現実

日本で開かれる公演の3割~4割が集中するとされている首都圏では、クラシック音楽の殿堂といわれる上野の東京文化会館が、大規模改修のため5月から何と3年間にわたって休館します。オペラやバレエも上演可能な神奈川県民ホールも昨年3月から既に休館しており、渋谷のオーチャードホールは来年1月4日から、首都圏以外でも滋賀県立芸術劇場が7月から休館に入ります。

オペラやバレエの上演には、オーケストラピットという、舞台と客席の間にある一段低くなったオーケストラの演奏スペースや、ステージの大規模な転換をするための広い舞台裏が必要で、背景を吊り下げるために天井も高くなくてはなりません。首都圏にこうした大がかりな舞台装置を持つホールが東京文化会館など二つで、これが完全になくなっている状況です。

こうした大規模なホールに限らず、地方で市民会館とか文化会館などと名付けられているホールが同じような状況になっています。これらは1960~80年代に集中的に整備されたもので、一斉に耐震性不足や老朽化が進んでいます。2年前に文部科学省が調査をしているのですが、その時点で国内には劇場・ホールは1800施設あって、その前の21年に実施した調査と比べて32施設減少して、施設の約15%は築50年以上、53%は築30~50年でした。それから時が経過していますので、事態はより深刻になっていると思われます。

こうしたホールは自治体が運営していることがほとんどですが、多くの自治体は老朽化する上下水道や道路の改修、少子高齢化による税収の落ち込みなどで財政難に悩んでいます。地方のホールは一般的に収益力が弱く、自治体にしてみれば、市民の命や生活にかかわる問題を優先させ、ホールの改修どころか閉館してしまうことも少なくありません。人口が増加し財政が安定した福岡のようなケースがまれともいえます。