柔道で五輪連覇を果たした大野将平選手(30)が2021年夏に東京五輪で金メダルを手にして以降、試合から遠ざかっている。自らの階級である73㎏級への出場は皆無だ。昨年末には引退報道が出るなど、五輪連覇の絶対王者はどこに向かおうとしているのか・・・。その動向が注目されていた去年11月、大野選手本人が揺れる胸中を語っていた。柔道に対する思いや葛藤を高橋尚子キャスターが聞いた。
「ずっとやる意味を探して、そして、辞める理由も探して」
高橋尚子キャスター:
お久しぶりです。
大野将平選手:
ご無沙汰してます。宜しくお願いします。
高橋キャスター:
宜しくお願いします。東京オリンピック後、以来ですね。
大野選手:
はい、久しぶりに取材も受けます。
高橋キャスター:
きょうはありがとうございます。オリンピック2連覇から1年半の時間を経て、今の葛藤の時間って、振り返るような時間になったのかなと思うんですけど。

大野選手:
この1年間、ずっとやる意味を探して、そして、辞める理由も探して、まぁどちらかというと本当に毎日、今もそうですけど辞めたいと。“引退”という文字がすぐそこにあるという状況で、毎日毎週、同じことの繰り返しなんですよね。ランニングしてウエイトトレーニングして、柔道の稽古をしてっていう、代わり映えのない地味な毎日で、ふと我に返った時に「何してんだろうな」と。「毎日同じことやってこれで強くなれるのだろうか」とかっていうような。でも辞める理由も見つからず、かといってやる意味も見つからず、自分自身の中で葛藤があるというか、やはり今はもう自分自身でなかなか決められないんですよね。
「高橋さんは何で辞めようと思いましたか?」
去年12月に大野選手が第一線を退くと報じられました。本人は「本意ではない」と話していますが、進退について悩んでいたのは事実。辞める理由も、続ける意味も見つからないと語ります。

大野選手:
今はもう自分自身でなかなか決められないんですよね。井上康生先生には、夏に食事させてもらったときに、2大会よく戦ってくれたと、もう今後の柔道人生は自分のためにやったらどうだ、っていうアドバイスもいただいたんですけど、なかなか自分自身のっていうところで火がつかないというか。
高橋さんは何で辞めようと思いましたか?
高橋キャスター:
私は試合も練習もあまり変わらないくらい実はピリピリしているし、ものすごく真剣勝負でやっているんですけど、他の人は「もう3番でもいい」「2番とかでもいい」とかで、たぶん妥協ができたらいくらでもできたんでしょうけど。今まで私、どんなに悪い試合でもスタートラインに立った時は全部、勝つつもりだし100%やるべきことをやってきたって立ってるのに、いい加減な気持ちで、もし出来ない中で立ったら、そりゃもう高橋尚子じゃないなと。
大野選手:
めちゃくちゃ一緒です。素晴らしいなあ。
高橋キャスター:
そんなものを見せてしまったら自分の格を下げてしまうんじゃないかと。
大野選手:
今の自分は全く同じ思いですね。年齢を言い訳にできるじゃないですか。稽古量を落とすとか、それは簡単なんですけど、本当に命かけて本当に試合を殺し合いだと思ってやっていた自分が、のらりくらりと試合に出てる姿ってのはありえないなと。残念ながらそれは「柔道家・大野将平」じゃないなっていうのはすごい感じていて。
大野将平が「大野将平」であるために…
大野選手:
皆さんの期待だとか、プレッシャーだとか全てを受け入れつつ、もう一度本当に戦いの場に戻りたいっていう思いはありますね。

高橋キャスター:
1日でも多く大野さんの柔道家の姿をみたいなっていう気持ちはあります。
大野選手:
そうですね。自分自身“競技者としての引退”というのはあるとは思ってるんですけど、“柔道家としての引退”はないと思っていて。本当に一生修行だと思っていますし、そう簡単に道を譲れるかっていうね、やっぱり自分自身のこの性格もあるのでだからこそやっぱりこの天理の稽古場ですべてのやるべきことをやりつくして、自分が納得する形で戦いの場には上がりたいなというのはあるので、我慢の日々が耐えられればいいなと。心折れずにやり切れればいいなというような思いです。
■大野将平(おおの・しょうへい)
1992年2月3日生まれ、30歳。山口県出身、170cm、73kg級。天理大出身、旭化成所属。世界選手権(2013年、2015年、2019)優勝。
五輪(2016年リオ五輪、2021年東京五輪)金メダル。
アジア大会(2018年ジャカルタ)金メダル














