研究のポイント

1. 実験――地球深部の環境を実験室で再現

研究グループは、レーザー加熱ダイヤモンドアンビルセルを用いて、最大178GPa、6000Kに達する超高圧・高温条件を作り出しました。

これは、地球の核―マントル境界付近に相当する極限環境です。

さらに、大型放射光施設​SPring-8※のBL10XUで新しく開発されたシステムを用い、レーザー加熱の開始と同時に高速量子ビーム測定(放射光X線回折測定)を行い、SiO2がどの結晶構造として現れるのかを、加熱直後の非常に短い時間で捉えました。

従来の実験では、長時間の加熱や冷却の途中で、本来安定ではない「準安定相」が成長してしまい、SiO2の相転移境界を正確に決めることが難しいという課題がありました。

この研究では、測定時間を最短10ミリ秒まで短くし、レーザー加熱、X線回折測定、温度測定を精密に同期させることで、この問題を大きく抑えました。放射光X線のもつ、輝度が非常に高く、平行性が良いという特性を活かした成果です。

レーザー加熱ダイヤモンドアンビルセル:2つのダイヤモンドで試料を挟んで超高圧を発生させ、レーザーで加熱する装置。地球 深部の高圧・高温環境を実験室で再現できる。

大型放射光施設 SPring-8:理化学研究所が所有する兵庫県の播磨科学公園都市にある世界最高性能の放射光を生み出す大型放射光施設で、利用者支援等は高輝度光科学研究センター(JASRI)が行っている。SPring-8(スプリングエイト)の名前は Super Photon ring-8 GeV に由来。SPring-8 では、放射光を用いてナノテクノロジー、バイオテクノロジーや産業利用まで幅広い研究が 行われている。

X線回折: 結晶に X線を当て、その回折パターンから結晶構造を調べる手法。この研究では、レーザー加熱と同期した高速測定により、加熱直後の相変化を捉えた。