研究の背景――沈み込んだプレートはどこまで届くのか
地球の表面では、海洋プレートが海溝から地球内部へ沈み込んでいます。沈み込んだプレート由来の岩石は、数億年という長い時間をかけてマントルの奥深くへ運ばれると考えられてきました。
しかし、それが本当に地球中心に近い核―マントル境界まで到達しているのかを直接示すことは、これまで容易ではありませんでした。
今回の研究の鍵となったのは、沈み込んだ海洋地殻に多く含まれる二酸化ケイ素(SiO2)※です。SiO2は、地球深部の非常に高い圧力と温度のもとで結晶構造を変え、最深部マントルでは「seifertite(ザイフェルタイト)」※と呼ばれる高密度の構造になります。
この変化は、地震波の伝わり方に特徴的な影響を与えるため、地球深部に沈み込んだ岩石を探す"目印"になります。

※SiO₂(二酸化ケイ素): 石英などの主成分として知られる物質。海洋地殻には SiO2が多く含まれている。地球深部では高圧力により異なる結晶構造をとる。
※Seifertite(ザイフェルタイト): SiO₂が非常に高い圧力下でとる高密度の結晶構造。地球の下部マントル最深部に相当する条件で安定になる。














