韓国の李在明大統領の就任からきょうで1年です。韓国では今、新たな法律によって労働者の抗議活動が、かつてないほどに増えていて、日系企業も警戒を強めています。

「絶対闘争!決死闘争!」

韓国中部にある物流センター。今年4月、ストライキ中の労働者らがゲート前に立ちふさがり、配送を阻止していました。そんな中、トラックが強行突破を図ります。その後、制止しようとした男性が下敷きになり死亡。

韓国の労働現場は今、かつてない緊張感に包まれています。

韓国 李在明大統領
「働くすべての人の権利をしっかりと守り、社会的対話を国政運営の中心に据えます」

きょう、就任1年を迎えた李在明大統領。60%前後という高い支持率を背景に、今年3月に施行させたのが「改正労働組合法」です。韓国ではかつて、ストライキなどに対し、企業が巨額の損害賠償を請求し、多くの労働者が追い込まれて自殺に至る悲劇がありました。新たな法律はそうした企業による、賠償請求などを厳しく制限しています。

そして、今。先週、大手自動車メーカー、現代自動車の工場前。

記者
「現代自動車の下請けの労働者らが今、座り込みをしています。雇用の安定を求めていまして、ものすごい熱気です」

「元請け交渉、勝ち取ろう!」

集まったのは、およそ1000人。現代自動車が最新の「AIロボット」導入を計画したことを受け、雇用が失われることがないよう訴えていました。

解雇された元従業員
「AIロボットが導入されれば、最初に解雇されるのは契約社員、委託社員、下請け社員です」
労働組合員
「(会社は)ストライキや闘争をしても損害賠償請求を行えないので、それを盾にして闘争を続けていくつもりです」

法律という「強力な盾」を得た労働者たち。一方で、波紋も…。半導体大手のサムスン電子では、賞与引き上げをめぐり「ストに突入すれば、経済損失が10兆円に及ぶ」ともされる、大規模な労使交渉に発展。IT大手のカカオでも、ストに入ることが決まっています。

さらに新たな法律では、下請け企業が元請け企業と直接交渉できるようにもなり、交渉の要求は法改正からわずか2か月半で428件に上っています。こうした動きに韓国に進出している日系企業も警戒を強めています。

日系企業幹部
「企業として対処のしようがない。当面は様子を見るしかないが、撤退する企業も増えてくるはずだ」

韓国経済への影響を懸念する専門家も。

世宗大学経営学部 ファン・ヨンシク教授
「(改正法による)企業活動の萎縮が、中長期的に韓国の経済成長率に下方圧力をかける可能性があると考えています」

新たな法律は労働者を守る『救いの一手』となるのか、経済の活力をそぐ『足かせ』となるのか。真価が問われるのはこれからです。