弁護士「非常に悪質で問題が大きい」 アイヌへの“新しい形の差別”
2024年11月、札幌市の区民センター(公共施設)で開かれたパネル展。

そこには「土人学校の教育 手を焼いた朝登校・入浴躾」などと当時のアイヌの人たちを見下すような内容が。
アイヌ民族の北原モコットゥナㇱ教授はこのパネルについて、差別を助長するものだと指摘する。
「入浴とかトイレの習慣とかって言うのは、当時の日本社会の中でも様々ですし特に貧困層の人々の中には衛生状態とか、例えばヨーロッパ人から見て非常に悪いっていうふうに評価されるということもあった。どちらにも見えることをその一方だけ取り上げて『こんなに衛生がひどかった 』 と強調して見せるのは悪い印象を誘導することになる」
また、差別的な内容だった旧土人保護法を「アイヌの窮状を救うための」「至れり尽くせりの法律」と説明するパネルも展示されていた。
さらに、アイヌが先住民族であることを否定するような内容も書かれている。

パネルより
「先住民とは言えないのではと思われます」

市民
「アイヌヘイトやめろ!差別をやめろ!デマを流すな!」
パネル展の会場の外では、市民が集まり、反対の声を上げた。
抗議に参加したマーク・ウィンチェスター氏はアイヌの近現代思想史の研究者だ。

マーク・ウィンチェスター氏
「歴史の歪曲と、かつてあった差別をもう一度現代において焼き増しするようなパネル展が、誰もが目にするようなところで行われていいものか。これは許せない」
パネル展は2025年9月にも開かれた。会場は札幌駅に直結した地下通路で、多くの市民や観光客が行き交う公共の場だ。
展示の内容は、ほぼ同じものだった。

パネルの内容を差別だと批判する研究者や市民団体と、主催者側の間で衝突が起き、警察が出動する騒ぎになった。
ウィンチェスター氏はその場で、パネルは歴史を誤って解釈していると指摘した。

ウィンチェスター氏
「近代化の過程において、アイヌが優遇されていたかのような主張。『至れり尽くせりの北海道旧土人保護法』とあります。農地に向いていないような土地もたくさんアイヌに付与されていた」
パネル展を主催したのは「アイヌの史実を学ぶ会」と名乗る団体だ。保守系団体の日本会議・北海道本部が後援しているという。
代表者の男性に、パネル展を開催した理由について尋ねると…

アイヌの史実を学ぶ会 伊藤昌勝会長
「我々の勉強の成果をみんなに見てもらおうとパネルを作った」
アイヌが先住民族であることを否定するような展示については…
アイヌの史実を学ぶ会 伊藤会長
「この方がアイヌなんだってことは、会ったことも見たこともない。アイヌが先住民族だなんてわからない。先住民族の定義がわかんないもん」
パネル展の内容には、専門家などから疑問や批判の声が相次いだ。
アイヌ民族の成り立ちを研究する瀬川拓郎教授は…

札幌大学(考古学) 瀬川拓郎教授
「先住民族というのは、一般的に言われているのは、近代国家の中で支配下に入って、独自の言語や文化を持つ人々という定義。アイヌの人々は先住民族と言える」

2025年12月、日本人類学会などの3つの団体も、「今日の学術的見地に立てば、アイヌ民族の先住性と独自性は明白」と表明した。
ヘイトスピーチの問題に詳しい島田度弁護士は、パネル展は「新しい形の差別だ」と批判する。

島田度弁護士
「現代の差別・レイシズムはストレートに民族をおとしめる方向では出てこない。『差別されていなかった、むしろ優遇されていた』という内容の展示」
「アイヌは俺たちより良い目を見ている。自治体から支援を受けているから、彼らの特権なんだという現代的レイシズムをある意味教科書通りなぞった展示なので、非常に悪質で問題が大きい」














