今、若者たちの間で「アナログ商品」への回帰が急速に進んでいます。レコードやカセットテープ、フィルムカメラ、さらには編み物まで。デジタルですべてが完結する2026年において、なぜあえて手間のかかるアナログが支持されているのでしょうか。

そのキーワードは「メンパ(メンタルパフォーマンス)」です。SNSのアルゴリズムに時間を奪われ、AIの台頭に不安を感じる現代人にとって、アナログ体験は単なる懐古趣味ではなく、自分自身の主導権を取り戻すための合理的な選択となっています。

今回は、リサーチャーであり、TBSポッドキャスト『コムギコ:資本主義をハックしろ!!』のパーソナリティを務めるcomugiさんに、アナログ回帰の裏側にある「メンパ時代の3つの新基準」について伺いました。

東京ビジネスハブ

TBSラジオが制作する経済情報Podcast。注目すべきビジネストピックをナビゲーターの野村高文と、週替わりのプレゼンターが語り合います。今回は2026年5月17日の配信「なぜ若者は『アナログ消費』に向かうのか! “メンパ時代”の3つの新基準(comugi) 」 を抜粋してお届けします。

レコードからカセットまで、若者が熱狂するアナログ体験の最前線

comugi:若者の間で進んでいる「アナログ化」の現状と、その背景にある心理を分析していきたいと思います。

野村:アナログ商品は今、そんなに流行っているのですか。

comugi:非常に勢いがあります。象徴的なのは、アナログの代表格である「レコード」です。先日、ソニーが7年ぶりにレコードプレーヤーの新商品を投入するというニュースがありました。一方で、ソニーはブルーレイディスクの出荷を終了するという発表もしています。この「レコードを再始動させ、ブルーレイを止める」という動きは、今の時代の流れを非常によく表している対比的な出来事です。

野村:デジタルメディアの象徴だったブルーレイが幕を閉じ、より古いレコードが生き残るというのは、面白い現象ですね。

comugi:また、若者の間ではレコードを聴けるカフェがブームになっています。これは日本国内に限らず、アメリカやアジア圏でも同時多発的に起きている現象です。さらに、訪日外国人観光客が日本のレコード店に殺到する動きもあります。日本の中古レコードは管理状態が非常に良いため、「Used in Japan」として世界的に価値が高まっているのです。

そして今年3月には東京・渋谷に、カセットテープをあえて聴くカフェ「カセット」がオープンしました。10代の若者へのインタビューによると、カセットをガチャンと機械にはめ込む「メカ感」がオシャレで新鮮なのだそうです。

野村:私たちの世代からすると懐かしいものですが、スマホをタップするだけで音楽が流れる環境で育った世代には、あの物理的な動作そのものが「エモい」体験になるわけですね。

comugi:おっしゃる通りです。A面からB面へひっくり返す手間や、くるくる回るテープの目に見える動き。そうしたプロセスそのものに価値が見出されています。