観客もラグ車もCGだった――あの試合シーンの舞台裏

ドラマ『GIFT』第1話より

本作でVFXを手がける中で特に印象に残っている試合シーンを尋ねると、3人は口をそろえて、第1話でのブルズと強豪「シャークヘッド」の両エース、宮下涼(演・山田裕貴)・谷口聡一(演・細田佳央太)の激闘シーンを挙げる。

「安全面やカメラワークの制限もある中で、激しくぶつかり合い攻防を繰り広げるシーンを再現するために、二人のシーンのラグ車はCGで再現しています」と尹さんは振り返る。撮影現場では、CGを合成するために「ロボットアーム」を多用したと言う。

ロボットアームは、高速移動出来るため、ハイスピードカメラを組み合わせることで被写体の激しい動きを至近距離で追いかけ、臨場感を演出するために使用されるもの。キャストの二人を実写で撮り、ラグ車をCGに載せ替えるという合成作業は、普段はあまりしないことで、僕たちにとっても挑戦でした」とも付け加える。

また、最先端の技術は、体育館の空間再現にも使われた。「ガウシアン・スプラッティング」という技術で、複数の写真や動画などのスキャンデータからリアルで高精細な3Dモデルを生成し、空間を再現するものだ。

尹さんは、「今回、その技術を持つ企業にご協力いただき、試合会場の体育館を再現していただきました」と説明。

「背景にはその再現していただいたデータを使い、人物はグリーンバックで撮り、ラグ車と競技用のラグビーボールはCGで作るという、合成VFXの中ではこれまであまりなかったような素材を組み合わせていきました」

そうした技術をいくつも重ねていくことで“実写に見える”ような映像を仕上げることは、「誰もしたことがなかったようなプロセスでもあり、チャレンジングだなと感じました」と、その挑戦の裏側にあった思いも吐露する。

「観客席はVFXで観客を増員させたので、放送時間は短いながら、かなり高い技術が詰まっているシーンです。とても良いカットになったので、あまり気付かれないとは思いますが、ぜひ見ていただきたいです」と言葉をつなげる。