すべての注意報・警報がレベル化されるわけではない 

新たな防災気象情報運用開始前に、ぜひお伝えしたいことは、今回レベル化(注意報~特別警報までの情報が用意)されるのは、すべての注意報・警報ではない点です。

レベル化の対象は、①一級河川などの大河川の氾濫を対象とした「氾濫」に関する情報 ②大河川以外の川の氾濫や低地への浸水などを対象とした「大雨」にする情報 ③「土砂災害」に関する情報、④「高潮」に関する情報に限られます。

つまりは、その他の注意報・警報は、今回の新たな防災気象情報の対象外です。たとえば、これからの台風時によく発表される波浪注意報・警報・特別警報や強風注意報・暴風警報・暴風特別警報にはレベルの数値はつきませんし、危険警報は存在しません。また、冬場の大雪注意報・警報・特別警報も同様です。さらに「雷」や「乾燥」などの注意報しか存在しない情報も従来どおりです。

その理由は、こうした状況下では、住民ごとに避難行動に段階を分ける必要が無いからです。たとえば、河川氾濫ですと、万が一に備えて水位がある程度上がった段階で、高齢者などの避難に時間がかかる人は早めに避難所へ移動する必要があります。そのため、レベル3の「高齢者等避難」と「レベル3氾濫警報」がリンクします。一方で、高齢者等に該当しないその他の人にはレベル4の「避難指示」や「レベル4氾濫危険警報」で避難が求められます。

一方で、「暴風」や「雷」に対する避難行動は「建物内にいること」で、「波浪」では海のそばから離れることになります。このため避難はどのような人でも同じタイミングとなり、「避難行動の対応の細分化が必要ない=危険警報がない」のです。

見逃しがちですが、すべての注意報・警報がレベル化され、危険警報が創設されるわけではありません。むしろ、変更されない情報の方が多いのです。

新たな防災気象情報は、「シンプルでわかりやすい情報体系・名称への整理」で「受け手側の立場に立った情報への改善」とされていますが、情報の種類と変更は少なくなく、情報を受け取る1人ひとりが新たに知っておくべきことは非常に多いのが現実です。今後の台風時などの情報発表時に混乱しないよう、「変更のない情報の把握」も重要です。

◆取材・文 福本晋悟
MBS報道情報局 災害・気象担当デスク。東日本大震災や西日本豪雨、能登半島地震などの被災地を取材。神戸学院大学現代社会学部客員准教授や「阪神・淡路大震災記念 人と防災未来センター」特別研究調査員も務める。