「現代の王」としての誇りとトランプ氏への忠告

「伝統的な哲学」の根幹、つまり「国家の基盤である国民のための統治を最優先すること」を、歴史が移り変わり、統治者が代わっても継続してきたのが中国である。そして今日、その統治者=最高位のリーダーが自分である、という習近平氏の宣言ではないでしょうか。

同時に、「私はこの国でそれを実践している。トランプ大統領、あなたはどうなのか?」という問いかけのようにも聞こえます。国際秩序をことごとく覆すトランプ氏への忠告や戒めにも思えます。中国固有の長い歴史を利用し、アメリカ大統領と対等に渡り合えるリーダーを演じたのです。

建国から250年のアメリカは、歴史や文明の長さや深さでは中国に遠く及びません。各国国家元首らが中国を訪れると、必ず名だたる旧跡に案内されます。1972年にアメリカ大統領として初めて訪中したニクソン氏は万里の長城を訪れました。1998年に訪中したクリントン氏が最初に訪れたのは、歴代王朝が都を置いた歴史の街「長安」こと西安でした。一朝一夕では成し得ない5000年の悠久の歴史を示すことで、「アメリカとは異質な中国」を理解させるのが狙いです。冒頭の動員された出迎えスタイルも、その異質さを示す一環と言えます。

ちなみに、日程を終えてトランプ大統領が帰国する際、空港にはまたあの若者たちの集団が現れました。一糸乱れぬ振り付けをしながら、今度は「歓送、歓送、熱烈歓送(熱烈にお見送りします)」と叫んでいました。