シリーズ「SDGs」。5月4日は「みどりの日」です。国土の3分の2を占める森は「長年の森の放置」という問題に直面していて、悪影響は川の魚にまで及んでいます。
鵜飼でも有名な長良川のアユ。この30年で漁獲量は大きく減りました。漁師たちは30年前にできた河口堰がその理由だと言います。
長良川漁師
「河口堰は一番ネックやね」
実は、アユの激減は全国的な傾向です。そのため、各地の川底を掘る治水工事も理由として挙げられます。
長良川漁師 平工顕太郎さん
「急峻な地形を縫うような瀬と淵の連続、川の蛇行。これを今まっすぐ直線化していることもアユにとっては生きにくい」
さらに、問題なのは“長年の森の放置だ”と岐阜大学の篠田名誉教授は言います。戦後、大量に植えられ、30年前ごろには伐期を迎えた木々。しかし、外国産に押しのけられ、手入れもされず放置されたのです。
岐阜大学 篠田成郎 名誉教授
「長年放置されていると土が乾く」
長年の放置は“森の乾燥”を招くと言います。
岐阜大学 篠田成郎 名誉教授
「地中から水分を吸い上げすぎるし、樹冠(枝葉)が触れあって雨が落ちてこない。下草も育たないし、土の中の生き物も育たない。土は乾いてしまう」
森が密集したまま放置されると、雨が地面に届きにくくなります。また、葉っぱから水分が吐き出され、根から大量に水を吸い込むため土が乾燥する。さらに、温暖化がこれを勢いづけていると言います。
岐阜大学 篠田成郎 名誉教授
「葉っぱや枝が残っている。結局(生き物がいないから)有機物が分解されていない。パサパサ。握ってもしっかり固まらない」
森の乾きは昨今の山林火災とも関係がありますが、一転、極端な豪雨では森の土がどんどん削られます。
東京大学の蔵治教授も…
東京大学大学院 蔵治光一郎 教授
「間伐していないから光が入ってこない、暗くて植物が生えない。鹿がたくさんいて植物を食べる。地面がむき出しで土がほとんど流れ去った」
大量の土砂は川に流れ込みます。
岐阜大学 篠田成郎 名誉教授
「間伐されていないところだと、川を歩くだけで泥が巻き上がる。下流には泥がたまって…」
泥の堆積はアユのエサ、コケの成長を阻害します。また、産卵場所も荒らすためアユの激減につながったと指摘したのです。悪影響はコケを食べる川虫をエサにする他の魚にも及びます。
研究を受け、動きだしたのは長良川上流の温泉施設。間伐材を使ったボイラーを設置。森の適切な管理につなげようとしています。
岐阜大学 篠田成郎 名誉教授
「近くの森を地元の人たちが伐り出して、間伐材ですが、森をうまいこと使う」
一方で、森を一気に伐って植林しない“放置”も土砂の大量流出につながります。
私たちは森との付き合い方を改めて考える必要がありそうです。
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