元特捜部長が自ら関西テレビ社員を“取り調べ”
「納豆ダイエット」の放送から3か月余り。外部調査委員会の委員長を務めた熊﨑は、調査結果を関西テレビに提出すると同時に報告書を公表した。
番組で放送された企画は、10年間で520本に上った。猪狩ら16人の弁護士が、それらを徹夜で精査した。
「VTR班、裏付け班、事情聴取班に分けて調べ尽くした。ヒアリングは原則として直接面談。ある意味、取り調べに近い真剣勝負だった。あまりに厳しい調査だったので、“あるある特捜部”と言われた」(猪狩)
その結果、「納豆ダイエット」以外にも、過去に放送した15本について、実験データや専門家のコメントについて不正が確認された。
その手法は多岐にわたった。実験のデータを番組の結論に合うように改ざんしたり、やせたとされる人物の写真をねつ造したり、中性脂肪の測定自体が架空だったケースもあった。
記者会見で熊崎は不正に至った要因をこう結論づけた。
「面白ければいい、視聴率を上げればいいという観念に呪縛され、良質の番組を提供しようという社会的使命が欠如していた」
「下請け、孫請けの外部プロダクションに丸投げし、制作現場を監督すべきテレビ局側に当事者意識が欠けていた」
報告書はさらに踏み込んだ。「事実に反する放送がなされる恐れを予見できた上、防止のための対策を講じることも可能だった」と局側の責任を明確に断じた。
熊﨑が疑問に感じたのは組織としての認識だった。
内容は正しいのか。裏付けはあるのか。なぜこれらの事実確認、チェック、検証の仕組みが機能しなかったのかーー。
つまり「ねつ造」のリスクは存在していた。それにもかかわらず、局側の責任者はなぜ見抜けなかったのか。単なる過失で片づけられる問題ではなかった。














