「リフォームということにしましょう」― 800万円を引き出すまで

事件が大きく動いたのは、4月に入り数日たった後だった。

相手は女性にこう指示した。
「定期預金を普通預金に移してください。紙幣の調査をするので、1日200万円ずつ引き出してください」

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理由は「あなたの口座に犯罪資金が流れていないか確認するため」だという。
女性は、言われるままに郵便局へ向かった。

もともと1日に引き出せる上限額は決まっていたが、「上限を上げてもらってください」と指示され、その手続きまで行った。

「そう言われても、全然疑っていなかったんです。詐欺なんていう考えもなくて」

1回ではなく、何日かに分けて。
毎日同じ窓口だと目立つからと、利用する場所まで指定された。

金融機関の窓口では、大きな金額を動かす理由を聞かれる。
その“答え”まで、犯人は用意していた。

「お祝い」
「子どもへの生前贈与」
「リフォーム」

いくつか候補を示された中で、女性が「そんなので通るのかしら」と不安を口にすると、相手はこう言った。

「じゃあ、リフォームということにしましょう」

4日間で引き出した現金は、あわせて800万円にのぼった。