何かを悟ったように失踪した夫

少しずつ光が見えかけていたある日、夫のアルバートさんが突然、失踪しました。

その時に恵子さんは自分が愛されていなかった理由が分かったそうです。

アルバートさんは同性愛者で、自分は女性として愛されていなかった。
――恵子さんは、ある意味ほっとしたと振り返ります。

一度は落ち込んだものの力をふり絞って3人の子どもを育てようと再び立ち上がり、その後職を得て育ち盛りの子どもが必要とするものを経済的に備えられるようにと、大学にも通いました。

恵子さんの背中を見て育った娘たちは、今、母への感謝の気持ちを語ります。

長女のエイミーさん
「母は、日本の社会に私たちが溶け込めないだろうと考えて帰らなかった。母は、私たちの将来の為に犠牲を払ってくれたのです。でも母は決してそれを私たちに気づかせなかった」

次女のジャネットさん
「母はあの時、帰りたかったのだと思う。でも私たちのことを考えて、帰らない決断をしたんです」

娘たちの言葉を横で聞いた恵子さん。娘たちに当時の気持ちを語りかけました。

恵子さん
「本当は帰りたかった。でも、あなたたちをアメリカに残して日本には帰れなかった。それで私が耐えると決意したのよ。だって、あなたたちを愛しているから」

苦難に耐えながら3人の子どものために人生を捧げた恵子さんの言葉に、奈緒さんも、娘たちも涙を流していました。

戦後80年。時代に翻弄されながらも、愛と尊厳を持って苦難の道を切り拓いていった「戦争花嫁」たち。

歴史の教科書には載らない彼女たちの真実の記憶を、私たちはどう受け取り、未来へつないでいくのでしょうか。

映画『War Bride2』は、その重い問いを社会に投げかける作品にしました。