抜け穴だらけの年齢認証
「多くの若者にとって、実質的には何も変わっていません」。デジタル世界における子育てなどに関する著書があるシドニー大学のキャサリン・ペイジ・ジェフリー准教授は筆者の取材にこう断言した。
新法施行直後、ペイジ・ジェフリー准教授の14歳と12歳の娘には「新法に基づき特定されました」という通知がプラットフォーム企業からそれぞれ届いたが、対応は単純だった。
娘たちは新しいアカウントを作り、そのまま使い続けている。特に12歳の娘はTikTokのアカウントを2つ持っていたが、ネイル投稿用のアカウントは削除すらされなかった。
14歳の娘の友人らの間では、フルメイクの化粧を施して顔認証をすり抜けたり、年上の兄弟姉妹に認証を代行させてアカウントを保持、もしくは新たに作成したりする方法が日常的に出回っているという。
ペイジ・ジェフリー准教授がより根本的な問題として指摘するのは、この法律の根拠となる研究結果や“ファクト”不足だ。
SNSと若者への害の間には「関連性」を示す研究はあっても、「因果関係」を証明したものはほとんどない。SNSが若者に害をもたらしているのか、それとも元々若者に悩みや不安などがあってSNSに逃避しているだけなのか、どちらが先なのかは判然としない。
過疎地の子どもやLGBTQI+の若者にとって、SNSは孤立を防ぐ重要な居場所でもある。「必要なのはデジタル・リテラシー教育とプラットフォームへの注意義務の課し方であって、排除ではない」とペイジ・ジェフリー准教授は言う。














