道徳の授業で使われはじめた
岩手日報のキャンペーン広告に注目したのは教育現場だった。全国の教師たちが道徳の授業に取り入れはじめたのだ。それを知った柏山さんらは、熱心に授業を行っていた佐賀県の光武正夫教諭の協力で、どう授業を進めれば効果的かを研究。まず震災の基礎知識を教えた後に動画を見せ、大切な人に大切なことを伝える手紙を生徒に書いてもらうという、授業の“ひな型”を作って公開した。
神奈川県の相模原市立中沢中学校で2月に行われた授業では、動画を見ながら涙ぐむ生徒たちの姿が見られた。動画の登場人物に自分を重ね合わせているのだ。
女子生徒①(13)
「動画のような形で大切な人が亡くなったら私は立ち上がれないと思いました。今朝、母親の顔も見ず『行ってきます』って感じで、ただドアを見て出て来ちゃいました。帰ったときには必ず顔を見て『ありがとう』って言おうと思います」
女子生徒②(14)
「いつも親と喧嘩したときにウザくて無視しちゃうんですけど『無視しちゃってごめんね』と伝えたいです」
女子生徒③(14)
「私たち4人ずっと仲良くて、この友達がいなくなったら自分はどうやって生きていこうかなって」
授業を担当した富永光一教諭(33)は岩手県北上市出身。被災県から来た教師としてこれまでも「防災教育」を行ってきたが、「最後だとわかっていたなら」を使った授業の手ごたえは全く違うと言う。
「震災のニュースなどを生徒に見せても今一つリアルに欠ける。中学生にどれだけ“自分事”として捉えてもらえるか。『ごめんね』とか『ありがとう』をおうちの方に伝えるのが難しい年頃で、(心に響くのは)そこかなと思って」
当時生まれていなかった生徒たちが震災を想像するのは難しい。しかし「大切な人が突然いなくなってしまう」という状況を思い浮かべることはできる。それが「防災」の入り口にもなるのではないかと言う。

















