「被災者の心の傷をえぐるのではないか」
それは、2001年9月11日のアメリカ同時多発テロで息子を亡くしたアメリカ人女性がつづった詩。
「最後だとわかっていたなら」作:ノーマ・コーネット・マレック 訳:佐川睦
あなたが眠りにつくのを見るのが 最後だとわかっていたら わたしは もっとちゃんとカバーをかけて 神様にその魂を守ってくださるように 祈っただろう
あなたがドアを出て行くのを見るのが 最後だとわかっていたら わたしは あなたを抱きしめて キスをして そしてまたもう一度呼び寄せて 抱きしめただろう
(中略)
たしかにいつも明日はやってくる でももしそれがわたしの勘違いで 今日で全てが終わるのだとしたら わたしは 今日 どんなにあなたを愛しているか 伝えたい
多くの人に共感してもらうために、この詩を紙面に載せたい。しかし被災地の新聞社として、本当にそれが被災者のためになるのだろうかと、柏山さんは考え込んでしまった。
「この詩は人の心に届く。けれどもいろんな後悔、伝えたかったことを伝えられなかったという話が、被災者の皆さんの心をえぐるんじゃないか。そう思って1年間は使わなかったんです。でも自分たちの周りでもどんどん風化は進んでいく。誤解を生むかもしれないけれども、自分は震災に関係ないと思っているような人たちにもこの詩が届き、風化の防止につながるんじゃないか」
柏山さんらは詩の掲載を決断。そしてキャンペーンは、柏山さんが思いもよらぬところで広がりを見せていく。

















