安定しているように見えて…一部で進む深刻な「氷の減少」

今回の研究で焦点となったのは、南極の「接地線(グラウンディング・ライン)」と呼ばれる境界線です。これは、陸地に乗っている氷と、海に浮かんでいる氷(棚氷)の境目のことで、ここが後退することは、氷が溶けて海に流れ出ていることを意味します。

研究チームは、1992年から2025年までの33年間にわたる衛星データを分析しました。

【図1】南極周辺における氷の境界線(接地線)の後退(1992年〜2025年)ESA (data source: Rignot et al, 2026).

ESAが作成した、南極大陸全体の氷の減少規模を示した図があります。

外側に伸びる帯の長さが氷の減少規模を示していて、海岸線の77%以上では氷の境界線は安定しています。

一見すると安心できる結果のようですが、実は特定の地域では著しい氷の後退が進んでいます。

最も大規模な後退は大陸の「西南極(グレーの帯)」側に集中しているほか、南極半島(緑色)や東南極(ピンク色)の海岸沿いでも大幅な後退が確認できます。