東京世界陸上とは違った歩型に対する配慮

――勝負に出たのは16kmでしたが、16kmというより残り5kmという意識の仕方ですか。
山西:
そうですね。距離が20kmからハーフマラソン(21.0975km)になって、最後にプラス1kmがある、ではなく、前半が1km長くなったイメージで歩きました。

1番のゼッケンが山西選手

――東京世界陸上でも残り5kmからトップに立ってペースを上げましたが、警告を立て続けに出されてペナルティゾーンで2分待機になってしまいました。今回も17kmまでの1kmを5秒ペースアップして集団から抜け出しましたが、注意が3枚続けて出されました(※)。
山西:
警告は掲示板に出るので、掲示板の前を通るまでは出されたことがわからず、立て続けに出されてしまいました。それに対して注意は、パドルで直接選手に出されます。今回は注意を出された時点で単純に、ペースを少し抑えました。(実際には1km2秒しか違わなかったが)体感的には落としています。

――ペースを落とすと同時に歩型も、警告が出ない歩き方ができた?
山西:
上半身の位置と接地位置の関係が、スピードを上げたときに少しズレた感じがあったので、それを元に戻しました。東京世界陸上のときは、注意をされてもその位置のまま歩き続けてしまっていましたね。そこの注意深さが少し足りなかったかな、と思います。谷井(孝行・陸連強化委員会競歩シニアディレクター)さんからも1月の宮崎合宿で、上体が後傾していることを指摘されました。後傾しているとキック脚が早く地面を離れて、振り出すときの足が高くなる、あるいは軌道が少し悪く見えるのだと思います。

――審判からの見方とすり合わせる、という表現をしていました。
山西:
そうですね。それ以上注意が出ないこと、警告になっていないことを18km、19kmで確認はしましたが、ゴールするまでは掲示板を毎周気にしていました。確信を持てたというより、そこにずっと注意を払いながらレースを進めていましたね。今回は後ろが離れてくれたのでペースを落として修正ができましたが、国際大会で最後競り合いになり、ぎりぎりの勝負になった時に歩型違反のリスクと隣り合わせ、という状態は望ましくありません。今後の課題になります。
(※)競歩は審判が歩型を判定し、正しい歩型(両足が同時に地面から離れてはならない。また、振り出した脚が地面についてから垂直になるまで、その脚は曲げてはならない)で歩いていない選手には注意(イエローパドル)が出る。注意されても直らない選手には警告(レッドカード)が出される。3人の審判から警告が出るとペナルティゾーンで待機を命じられる。ペナルティゾーンを出てから1枚警告が出ると失格になる。注意や警告が出されると思い切った歩きができなくなるなど、勝負に影響することもある。