30時間の壁 歪められた時間外勤務の実態
最も深刻だったのは、時間外勤務に関する誤った指導だ。上司は課員たちに対し、「時間外申請は月30時間を超えないように」と繰り返し指導した。そして2025年7月には、全課員へのメールで「事前申請の無い実績申請は受付しません」と宣言した。
しかし、能美市の規定では、事前申請が原則とされているものの、実績申請も認められている。上司の運用は、明らかに市の方針を逸脱していた。
その結果、何が起きたか。自殺した被害者の時間外勤務実績を見ると、4月が37時間だったのに対し、5月は7.3時間、6月は14時間と激減している。しかし、パソコンの操作記録を見ると、深夜まで作業していながら申請がない日が多数認められた。
職員は証言する。「休日や夜の会議出席など、明確な時間外勤務以外は申請を行わなくなった」。「4月の実績が出た時点で『申請は30時間を超えないように。業務が遅いのは事務作業が遅いから』と指導された」と明かす。
第三者委員会は、この運用について「管理職として適正な労務管理に関する職責を放棄するもの」「悪質であり違法性を認め得る」と厳しく批判した。














