勝負どころは15kmから
全日本実業団ハーフマラソンが行われる山口市のコースは、最初の3~5kmが上りでペースを上げられない。しかし7kmまでが下りで、8kmから折り返しの12kmまでがまたなだらかな上りで、折り返してからは20kmまでなだらかに下る。ただ最初の3~5kmの上り以外は、平坦なコースと感じる選手が多いようだ。
「最初の5kmはペースが上がらないので、みんな付くことができるんです。そこから残りの15kmのレースが始まる感じです。レースが動くのは15kmからだと想定しています。15kmで余裕を持てていれば、前回と同様に追いついたり、ペースアップしたりすることができます。15kmまで余力を残すには前半の走りが重要です。5kmを過ぎて右折したところから下りになってペースも上がるのですが、橋などのアップダウンもいくつかあります。そこの小さな上りを勢いよく走ってしまうと脚を使ってしまうので、最初の5~6kmのように(必要な筋肉など)使うべきところを使って走ることで、後半まで力を残すことができます」
その走り方で大会新記録を目指すが、大会新まで行けば、あと10数秒で59分台に届くことになる。1km1秒の短縮は、ハーフマラソンの距離では簡単なことではないかもしれない。だが「最初の5kmを落ち着いた走り方でも、10~20秒速くなれば、60分切りも大会として可能性はあると思います」と市山は感じている。前回の5km通過が14分36秒。風の吹き方にも影響を受けるので一概には言えないが、14分20~25秒で5kmを通過したときは、59分台の可能性がある。山口のコースで59分台なら、日本記録(59分27秒)に匹敵する価値がある。
そして東京マラソンでは新旧日本記録保持者の大迫傑(34、リーニン)と鈴木健吾(30、横浜市陸協)、昨年の東京世界陸上代表だった近藤亮太(26、三菱重工)と小山直城(29、Honda)たちと対決する。このメンバーで勝てばすごいことだが、市山は勝負にこだわらない。
「誰かが日本記録を出せればいい、一緒に走っている集団の誰かが勝てばいい、と思っているので、敵として走ることはしません。とりあえず、2時間05分30秒を切るタイムを出せたらいいですね。その後の海外マラソンで日本記録を狙えればいいかな、と思っています」
独特のマラソン観で走る市山が、まずはハーフマラソンでどんな走りをするかに注目したい。
(TEXT by 寺田辰朗 /フリーライター)

















