ライバルと共闘することでレベルアップを

昨年のレース中、市山はライバル選手とコミュニケーションをしながら走っていた。一度、12~15kmの間で先頭集団から離されてしまった。「61分半が目標で、その時点でもう61分を切るペースだった」ため、無理に付こうとしなかった。だが先頭集団との差が徐々に開かなくなった。「15km過ぎてから、同じ集団にいた藤本珠輝(25、ロジスティード)選手と話して、一緒に行こうということになったんですが、自分だけ行く形になりました」。市山のペースアップが、藤本の想定を上回ったということだろう。

16~17kmの間で先頭のS.キプチルチル(24、中電工)と西澤侑真(25、トヨタ紡織)に追いつき3人の先頭集団を形成。そのときも西澤とコミュニケーションを取っている。

「外国人選手のペースが少し落ち着いたので、西澤選手に上げられるか確認したのですが、前に行ってくれ、という合図をされたので、残り3kmか2.5kmくらいで思いきり行きました」

前回の東京マラソン

3週間後の東京マラソンでも、日本人1位を争っていた井上大仁(33、三菱重工)が給水を取り損ねたのを見て、自分の給水を手渡している。フィニッシュ地点まで残り5km付近である。

「何が何でも優勝するとか、誰かを蹴落として走るとかではなく、今走っている集団の誰かが勝てばいい、と思って走っています。給水を渡すのも、平等で最後まで勝負をしたいからです。みんなで記録を出せれば嬉しいですし、勝ち負けはその日偶然、元気があった選手が勝つ、という考え方をしますね」

昨年の例では、市山が他の選手に話しかけるのはペースを上げたい時である。今年のレース中も、市山が誰かに話しかけたりジェスチャーでコミュニケーションを取っている時は、スパートの合図と思ってもいいのではないか。