冬の富士山で相次ぐ無謀な登山による遭難事故。地元市長は「救助に行く人の気持ちを考えてほしい」と強い危機感を示します。静岡県警の救助隊は、人数も時間もかかる過酷な冬山の救助事情を話します。

<富士宮市 須藤秀忠市長>
「残念なことですね。誠に遺憾なことだという風に思っています」

怒りの言葉を並べる静岡県富士宮市の須藤市長。その矛先は冬の富士山で相次ぐ遭難です。

<富士宮市 須藤市長>
「登っちゃいけないって。それを無視して登ってしまうということ自体が非常に不届きものですね。私からしてみると。救助に行く人、救助を支える人たちの気持ちを考えながら、山へ登ることをやめていただきたい」

登山道が閉鎖される冬の富士山。しかし、無理な登山による山岳遭難事故が後を絶ちません。

1月は単独で登山をしていた中国籍の20歳の男性が転倒して足首を骨折。

去年12月末には、友人と登山していた40代男性が200メートル以上滑落し、死亡しました。

静岡県警の山岳遭難救助隊の坂上隊長は、冬山の過酷さを強調します。

<静岡県警山岳遭難救助隊 坂上雅信隊長>
「開山期間中は(雪がなく)ルートもしっかり出ているので、場合によっては隊員2人とかでも救助可能なことがあるが、冬の場合はアイスバーンの様な斜面なので、10人以上の隊員が行かないと遭難者を救助できないし、救助隊も無事に帰って来られないという、厳しい環境になっている」

さらに、夏の開山期間は、隊員が富士山に常駐していますが、冬は県内各地で通常業務をしている隊員が集められるため、救助開始までに時間がかかるといいます。

<坂上隊長>
「平場と違って、119番通報すれば直ちに救急車が来る環境ではない。少しでも天気や装備、体調に少しでも不安を感じたら登っている途中なら勇気ある下山、登る前でしたら登らない決断、これをしていただきたい」

危険が伴う冬の富士山ですが、実は、閉鎖されているのは、県道に指定されている一部の登山道のみ。道から外れた場所や他のハイキングコースからは入山できてしまう状況です。1月に遭難した男性も、閉鎖中の登山道以外のハイキングコースから山に入ったとみられています。

これらの問題に対する国や静岡県の議論も低調で、地元・富士宮市の須藤市長は2月2日の会見で「国の法律を変えてもらうことが大事」と救助費用の有料化や罰則の強化など、事故を未然に防ぐ仕組み作りの必要性を訴えました。