女子野球界初となるNPB12球団のプロ野球チーム名を冠した“埼玉西武ライオンズ・レディース”。埼玉・加須市を拠点に、2020年から活動を開始し、今年で6年目を迎える。
ライオンズ・レディースが創設された当時から、投手としてチームに所属している里綾実(36)は女子野球界を切り開いてきた一人。鹿児島・奄美市出身の里は神村学園高校(鹿児島)から尚美学園大学(埼玉)へ進み、その後はレイアや愛知ディオーネといった女子プロ野球の世界で活躍。さらに侍ジャパン女子代表としてワールドカップに出場、3大会連続(第6回~8回)でMVPを獲得するなど、日本の大会7連覇に貢献してきた。
「ユニフォームに恥じないプレーを」NPB女子チームへの覚悟
日本の女子野球は世界屈指の強豪国でありながら、その存在や実績は十分に知られていない。2010年に誕生した女子プロ野球は経営難や選手減少などにより、2021年に無期限休止。事実上消滅となった。19年にプロを退団した里は、「野球をやりたいけど、やる環境がほとんど無かった」と当時の思いを吐露。新たに野球ができる環境を探す中、翌年にライオンズ・レディースへの入団が決まった。現在は関東女子硬式野球連盟が運営するリーグ、ヴィーナスリーグに参加しているほか、クラブ選手権や全日本選手権などの大会に出場している。
里はライオンズ・レディース発足当初を振り返り、「自分の居場所が見つかったなっていう安心感しかなかった」と語る。プロではない新たなカテゴリーだが、NPBの名を背負う以上、責任は感じていた。「ユニフォームに恥じないプレーをしなければ」。
現在、NPB球団を母体として作られた女子チームは、読売ジャイアンツ女子チーム、阪神タイガースWoman、そして埼玉西武ライオンズ・レディースの3チームのみ。いずれもプロ化はされていないが、里は「女子野球を知らなかった人たちにも、すごく認知が広がった」と確かな変化を感じている。
「今世界的にも女子野球の環境が変わってきて、少しずつレベルも上がってきている。5年前に比べたら、若い選手たちの意識もすごく変わったし、本当にレベルが上がったなと思います」。そう話す里の言葉通り、女子野球を取り巻く環境は確実に前進している。一方で、高校や大学ではチーム数の増加は目立つものの、依然として女子選手が目指す“女子プロ野球”という道は閉ざされたままだ。里は日本にもプロを目指したい選手はいるが、「行動に移せる選手はまだ少ない」と現状を見つめる。
「女子野球を知っている人だけが盛り上がっている状況から、もっと競技や選手一人ひとりの価値を高められるようになる事を願っています。そして、より多くの人が“女子野球を応援したい”と思える存在にしたい」。これからの女子野球の可能性を信じ、里は新たな挑戦の一歩を踏み出している。














