生後45日でこの世を去った命、慣れない土地での老人ホーム 震災がもたらした遠因死

廣畑帆乃香ちゃん。不妊治療の末に授かった待望の赤ちゃんで、地震の6日前に産声を上げたが、心臓に病気を抱えていた。

地震で人工呼吸器が一時的に停止し、病状が悪化。生後わずか45日で、この世を去った。

廣畑帆乃香ちゃんの両親
「生前、保育器の中に手を入れて指を差し出すと、小さな手で優しく握り返してくれました。緊急車両に乗せてもらい、なきがらを抱いて自宅に帰りました。まだ温かかったのを覚えています」
「天国に召された我が子が短い間ではあっても、この世に存在していた証、生きていた証が欲しいと思いました」

粟田栄さんは、神戸市東灘区で被災。娘が命を落とした。80歳をすでに超え、パーキンソン病を患っていたが、近くに住む親族も被災し、関東の親族に引き取られた。慣れない土地で体はさらに弱り、最終的に横浜の老人ホームに入った。

孫 松岡京子さん
「本当にかわいそうだった」

孫 向山口美穂さん
「(自分も被災して)それどころじゃないというのを」

孫 松岡京子さん
「何も言えずにね」

姉 向山口美穂さん
「言い訳にしてたかな」

地震から9か月後、粟田さんは、慣れ親しんだ神戸に帰ることなく息を引き取った。

「祖母を神戸に帰したい」

孫姉妹は10年後、直接死の母の名前がすでにあるモニュメントに、「遠因死」として粟田さんの名前も刻んだ。

孫 向山口美穂さん
「“神戸に帰したい”。“おばあちゃんは神戸の人や”という、それだけですね」

孫 松岡京子さん
「お母さんと一緒にね、そばでね。入れてあげたかったよね」