新たな年の日本経済の行方を左右する最大の焦点のひとつが物価高に対する日銀(冒頭の写真は、植田総裁)や政府の取り組みだ。筆者は、具体的な取り組みの前提となる、“現状に対する認識”にまず注目する。ジャーナリストで、BS-TBS『Bizスクエア』メインキャスターの播摩卓士氏による論考。
世の中がこれだけ物価高で困っているというのに、「物価の番人」であるはずの日本銀行が、「物価目標達成には至っていない」と言い続けています。この不思議な現象と、私たちは、もう3年以上も向き合っています。2026年、この「矛盾」が解消され、健全な政策運営を取り戻すことができるでしょうか。
3年以上続く“消費者物価2%超”と日銀の言う「基調的物価の2%上昇」
消費者物価(除く生鮮食品)が前年比で2%を超えたのは、ウクライナ危機があった2022年の4月のことでした。第2次安倍政権が始めた「アベノミクス」による異次元の金融緩和にもかかわらず実現しなかった、「2%の物価上昇」が、戦争によるエネルギーや食料などの輸入物価上昇によって、あっけなく現実のものになりました。
暦年で見ると、2020年と2021年は前年比マイナス0.1%だった消費者物価(除く生鮮食品)は、2022年に2.3%上昇し、23年は大幅な円安を受けて3.1%に、24年は2.5%上昇しました。最新の25年11月は前年同月比で3.0%の上昇です。この3年8ヶ月間、驚くべきことに、一度も単月で2%を割っていません。
つまり、消費者物価指数と言う数字は、誰がどう見ても、「2%の物価上昇」という目標に達しているのです。
しかし、日本銀行は、目指すべきは「基調的物価が2%上昇する」ことだとしていて、未だ「物価目標」には至っていないという立場です。
「基調的物価」とは何なのか、その上昇率は何%なのか、という問いは、日銀の会見やエコノミストレクチャーで常に議論となるテーマです。日銀は、基調的物価の具体的な数字や算定根拠など詳しい中身は明らかにしておらず、目標達成までの具体的な距離感は、外からは見えない状態が続いています。要は、基調的物価は、概念的、定性的なものです。
基調的物価とは、天候、市況、為替など一時的な変動要因を取り除いた上で、需要の増加や賃金上昇の価格転嫁を含めたトータルの物価上昇の力を指すというのが、私の理解です。この基調的物価の上昇率が2%に達すれば、表面的な消費者物価上昇率も「安定的」「持続的」に2%になったと言えるというのが、日銀流の説明なのです。表面的な消費者物価指数が瞬間的に2%を超えただけでは、「物価目標達成」にはならないという論理構成です。














