「エース封じ」監督の奇策
決勝当日、キックオフ2時間前には雪が舞うほどの大寒波に見舞われた。柳ヶ浦サイドは「風を有効に使おう」と想定していたが、上空は風が舞い、ピッチ上のフラッグは四方八方にはためく。両チームともにロングボールが使えない地上戦を強いられた。
相手は、夏の九州予選で敗れた過去3度の優勝を誇る神村学園(鹿児島)。今大会最多24得点の攻撃力を封じるため、林監督は驚きの策を講じる。今大会の出場時間がわずか1分だった1年生DF3・平尾心瑚をスタメンに抜擢。神村学園エースのMF7・山野蒼空(2年)に対し、徹底マークを指示した。
林監督:
「相手にインパクトを与えたかった。平尾は対人が非常に強く、戦い抜いてくれると信じて送り出しました」
指揮官の期待通り、平尾は影のように山野に張り付いた。味方がボールを持っても、彼女の目は相手のエースを捉え続ける。相手を分析し、最適な形に変容する。まさに“カメレオンサッカー”の真骨頂だった。














