やはり“神の子・メッシ”だった。FIFA ワールドカップの決勝が19日(日本時間)に行われ、PK戦(4対2)の末、アルゼンチンがフランスを下し、36年ぶりの優勝を果たした。試合は2対2で延長戦へ。延長後半にアルゼンチンはリオネル・メッシ(35)のこの日2点目のゴールで勝ち越したが、その後フランスがキリアン・エムバぺ(23)のハットトリックでまたも同点に。120分で決着がつかずPK戦へともつれた。
今大会を「最後のW杯」としているメッシにとっては悲願のW杯初優勝。メッシは今大会通算7得点。史上初の2度目のMVPに輝いた。この日ハットトリックのエムバぺが通算8得点で得点王に輝いた。
約9万人の観衆が見守った決勝の舞台はメッシにとって記録ずくめのメモリアルゲームとなった。ワールドカップ出場試合数は「26」となり、元ドイツ代表のピーター・マテウス氏を上回る歴代最多に。
立ち上がりはフランスの動きが固く、中央でメッシがボールをさばきアルゼンチンが攻撃のリズムをつかんだ。前半21分、アルゼンチンは左サイドをディ・マリアが切り込むと、ペナルティエリア内でフランスディフェンスが足をかけPKを獲得。キッカーのメッシは落ち着いてゴール右に決め、今大会6ゴール目。“神の子”メッシのゴールでアルゼンチンが先制した。このゴール直後、前半23分を越えた所でメッシは元イタリア代表DFパオロ・マルディーニ氏の通算W杯出場時間記録「2217分」も塗り替えた。
前半36分には、ディフェンスがボールをカットするとメッシが中央で起点となって左サイドのフリアン・アルバレス(22)へ。中央に走りこんだアレクシス・マック・アリステル(23)にパスを出すと最後は先発起用されたディ・マリアが決め2点目を挙げた。
前半はアルゼンチンが完全に試合を支配し、連覇を狙うフランスはシュート0本。試合前時点で5得点と得点ランクでメッシに並んでいたキリアン・エムバペ(23)も、なかなかボールに触れなかった。
後半に入ってもアルゼンチンの勢いは止まらず、後半14分にはメッシがディフェンス3人に囲まれながらシュート。ゴール右に外れ思わず苦笑いを浮かべたが、“史上最高の選手”が魅せた。
後半33分、ここまでフランス攻撃陣を抑えてきたアルゼンチンのディフェンスがペナルティエリア内でファール、PKを与えた。キッカーはエムバペ。シュートコースをキーパーに読まれたがゴール左下に叩き込んだ。その1分後、エムバペがマルキュス・テュラム(26)とのワンツーでダイレクトボレーシュート。目覚めた“怪物”エムバペが通算7ゴール目を挙げ、わずか2分でフランスが2-2の同点に追いついた。
後半アディショナルタイムにはメッシがミドルシュートを狙うもフランスのキーパー、ユーゴ・ロリス(35)が好セーブでゴールを許さなかった。死力を尽くした決勝は90分では決着が付かず15分ハーフの延長戦へ。
延長後半3分、中央でメッシがボールを持つとエンソ・フェルナンデス(21)に預けて、それをラウタロ・マルティネスにスルーパス、シュートはキーパーに弾かれたが最後はメッシが押し込みこの試合2ゴール目、通算7ゴール目を挙げた。
しかし、延長後半13分、アルゼンチンがペナルティエリア内でハンドのファール。これをエムバペが落ち着いてゴール左隅に叩き込みハットトリック達成。3対3と再びフランスが追いついた。決勝でハットトリックを決めたのは1966年イングランド大会のジェフ・ハースト氏以来2人目の快挙となりエムバペは通算8ゴール目で得点王を決定づけた。
試合は3対3の同点でPK戦へ。決勝でのPK戦は2006年ドイツ大会以来3度目となった。先攻はフランス、キッカーはエムバペ。落ち着いて左に決めた。
アルゼンチン1人目はメッシ。こちらも左に決めて1対1。そしてフランス2人目、コマンのシュートをアルゼンチンのキーパー、エミリアーノ・マルティネス(30)が止めるとフランスは3人目も枠を外した。アルゼンチンが4人全員成功し激闘を制して優勝に輝いた。
メッシはワールドカップ5大会目にして初めての優勝。「最後のW杯」と位置づけていた大会で悲願のタイトルを獲得した。アルゼンチンはマラドーナを擁した1986年メキシコ大会以来、36年ぶりのワールドカップ制覇となった。さらにメッシはW杯史上初2度目のMVPに輝いた。
【リオネル・メッシの主な獲得タイトル】
・スペインリーグ(10回)
・スペイン国王杯(7回)
・スーペルコパ(8回)
・チャンピオンズリーグ(4回)
・UEFAスーパーカップ(3回)
・クラブワールドカップ(3回)
・コパ・アメリカ
・北京オリンピック
・2005年ワールドユース
・バロンドール賞(7回)
【得点ランキング】
■1位 8得点
キリアン・エムバペ(フランス)FW
■2位 7得点
リオネル・メッシ(アルゼンチン)FW
■3位 4得点
オリビエ・ジルー(フランス)FW
フリアン・アルバレス(アルゼンチン)