■「この家とも、もうお別れだ…」“複雑な思い”抱きつつ、一歩ずつ前へ
【安一郎さんの息子 松本一成さん(59)】
「(Qこの部屋の泥はこのまま?)このままもうあきらめて、どうせ壊すのでね」
息子の一成さんは被害を受けた自宅で生活を続けていました。
家の判定は『大規模半壊』でした。
【安一郎さんの息子 松本一成さん(59)】
「やっぱり離れたくないという気持ちはありますね。でもお隣さんもこうなっているし、今まで通りにはいかないのかなと。父が建てた家なので、父が一番切ないと思います」
県は、小岩内集落の復旧は長期化が見込まれるとし、荒川地区公民館の駐車場に『応急仮設住宅』を設置。松本さん一家を含む33世帯が入居しました。
コンテナ型の仮設住宅はひと棟あたり最大4人が入居でき、冷蔵庫やテレビなども完備。防寒対策のため、窓も厚くなっています。
【松本安一郎さん】
「みんな一緒だから会えば話ができるし、いいですね」
生活再建に向けた一歩をようやく踏み出せたものの、不安もあるといいます。
【松本安一郎さん】
「仮設住宅も2年間。その後どうなるか… やっぱり小岩内に戻りたいですね。離れ離れになるのは寂しいですからね」

そして4か月たった12月1日。小岩内集落の被災した家屋の解体作業が始まりました。

公費で解体するのは、全壊または大規模半壊に認定された住宅7軒と小屋や土蔵など11棟の合わせて18軒。その作業が始まる10日ほど前、松本さんは小岩内集落にいました。
【安一郎さん】「この家とも、もうお別れだ…」

取り壊しを目前に最後の自宅を目に焼き付けます。

【松本安一郎さん】
「覚悟はしていたんですけどね。いざ壊すとなると本当にわびしい気持ちでいっぱいですね。涙が出そうですわ」

「(小岩内集落は)一番いいのが、人がいいんです。人間的にも本当にいい人ばっかりで。本当にいい所に生まれて育った、それだけは本当にありがたいなと思いますね」

進む復旧の一方で住民たちの心に残る複雑な思い。
被災した住民たちの奮闘は、今も続いています。