「1区なら絶対に勝てるように」と前回区間賞の長嶋

第69回全日本実業団対抗駅伝競走大会の長嶋選手


高卒入社のため年齢は4つ違うが、長嶋は葛西、井川と同じ入社3年目の選手。1年目から1区に出場したが、9km過ぎで転倒したことも響き区間13位だった。2年目の前回は11.4km付近からロングスパートを仕掛け、三浦龍司(23、SUBARU)、吉田祐也(28、GMOインターネットグループ)、遠藤日向(27、住友電工)らのビッグネームを抑え区間賞を獲得。中継後には「今まで走った中で一番嬉しい」と、喜びを表現した。

「強い選手が揃っていましたが、ここで勝ちきって区間賞を取って次の区間につなげば、チームにも刺激が入ります。絶対に区間賞を取る、という前向きな気持ちで走ることができました」。

しかしニューイヤー駅伝後は左ひざ、右ふくらはぎと相次いで故障。体調不良も重なって、復帰レースは11月3日の九州実業団駅伝までズレ込んだ。旭化成Bチームの1区で区間8位、区間賞選手とは18秒差だった。

「練習の流れを考えたらまとめられたと思います。11月末の日体大10000m(1組9位・28分16秒84)で粘りの走りができてメンバー入りしました。その後の練習も余裕をもって、かなり良い感覚でできています」。

出場区間はチームの状況次第となり予想が難しい。インターナショナル区間の4区も日本人で戦わなければいけないことが、その状況に輪をかけている。だが選手層が厚く、どの区間にも適した選手を準備できるのが旭化成である。長嶋を1年前と同じ1区に起用できる可能性は大きい。「1区なら絶対に勝てるように、臨機応変に走ります」。前回と違うレースプランも考えているという。

同期の葛西は入社2年目のパリ五輪、3年目の東京世界陸上と10000mで代表入り。井川も前述のように日本選手権5000mを制した。個人成績で長嶋は、学年が4つ違うので当たり前ではあるが同期2人に後れを取っている。前回の区間賞も個人種目に結びつけられなかった。1年目の転倒でブランクが生じ、急ピッチで駅伝に合わせたダメージも、その後の故障につながった。

「(1年目にケガをした)左ひざも良くなっていて、体も実業団のハイレベルの練習に少しずつ適応してきています。練習を継続できる体にして、来年はトラックでも結果を出します」。2年連続ニューイヤー駅伝で快走し、個人種目でも同期2人を追い上げる号砲とする。