強烈スパートで駅伝日本一を決めた井川が駅伝でも日本一に
前回のニューイヤー駅伝はアンカー井川の強烈なラストスパートが、旭化成に26回目の勝利をもたらした。「無理のないペースで追って早い段階(4.6km付近)でHondaに追いつくことができました」。それができたのは12秒差でタスキを受け取ったからだった。井川自身は「30秒差」を予想して待っていた。「チームのみんなが持てる力を発揮した結果です」。
調子自体も良かった。12秒差を追い上げても余裕があったという。「個人レースならもっと早くスパートしたと思います。しかし駅伝はチームの勝利が一番なので、ラスト200mくらいから行こうと考えていました。結局、気持ちが先走ってしまって、ラスト500mから出てしまいましたね。思ったより残りが長かったです」。井川自身は多少のヒヤヒヤも感じながら走っていたが、2位のHondaには8秒差と危なげなく逃げ切った。
元旦のラストスパートは、25年シーズンの快進撃への号砲ともなった。7月には日本選手権5000mに初優勝し、ホクレンDistance Challenge網走大会では13分23秒13の自己新をマーク。8月にはベルギーの試合で13分14秒58で走り、日本記録(13分08秒40)に約6秒と迫った。東京2025世界陸上代表には惜しくも届かなかったが、2カ月間の結果で大きな自信を得た。
「過去にないくらい練習を頑張りました。良い質、良い量で1カ月半から2カ月、練習ができました。それを3カ月間集中してできたら、(日本人初の)12分台も見えてきます」。
そして再び、ニューイヤー駅伝に挑む季節となった。世界陸上を逃してからは一度状態を落としたこともあり、11月3日の九州実業団駅伝は1区で区間7位。区間賞選手とは16秒差でブレーキとは言えないが、苦手の上り坂もあって苦戦した。しかし11月22日の八王子ロングディスタンスでは10000mで27分52秒61と、状態は上向き始めた。
「前半区間ならタイム差を気にせず、前を追う走りをします。2年連続アンカーだったら、40秒差くらいなら追いつく気持ちで行きます。ラストスパートは負けない自信があるので、強気の走りをしたい」。1年間の成長を、どういう形で見せてくれるだろうか。

















