実は弁護士を目指していた

(山地所長)
「そうですね。先ほど修習中のあの経験ということを申し上げました。私は修習に入る前、司法試験を志して目指した頃は弁護士を希望していて、やはり紛争の中で一番、当事者に近い立場で、寄り添って救済に、手助けをできる立場ということで弁護士が一番それに合っているだろうと思っておりまして裁判所というのは、むしろ受身の立場で淡々と事件を処理していくというイメージを持っておりました

「修習に入って、例えば民事裁判の修習で見たのはですね、当時は『弁論兼和解』という、今の民事裁判の先駆けのような手続きが行われていて、要は争点を整理しながら、場合によっては当事者本人も裁判所に来ていただいて、その中で話し合いによる解決を考えたり、あるいは、判決になるものについてもできる限りその紛争の実相に裁判官が釈明等の形で積極的に関わっていくと、当事者から少し距離があると、中立な第三者であるというところは、私の中では、最初は何て言うんですかね、弁護士に比べると、そういう意味では、少し紛争解決とは遠いというようなイメージを持っていたのですけれども、思った以上に裁判官が第三者であるがゆえに、第三者的な提案ができたりとかですね、あるいは法律の解釈に関しても、あるいは事実認定に関しても、独立して仕事をできるということは、裏返せば、誰からも縛られないということで、その事案に一番合った解決が何かを自分で考えて、それを当事者・代理人に提示して、そういったやり取りを通して解決に結びつけられるというようことを、修習の時、見た事件の中で担当裁判官がされているのを見て、紛争解決、法的な紛争解決にすごく前向きな仕事ではないかという風に、思ったということです」

(記者)
「実際に現地に行かれてどう感じられたことをやったとかがあればですね、教えていただきたい。それで、どういうふうな経緯で和解という風に繋がっていったのかっていうところを、もう少し具体的に振り返っていただければ」