現政権の反ユダヤ事案対応遅れに批判
約30年前に単独犯が35人を殺害した事件以来、多くの犠牲者を出す銃撃事件が発生していなかったオーストラリア。世界有数の厳しい銃規制を持つ“平和な国”として知られていただけに、犠牲者の家族や関係者のみならず、オーストラリア国民が受けた心理的衝撃は大きい。
今回の事件の背景として、オーストラリア国内で高まっていた反ユダヤ事案に対する政府の対応の遅れが指摘されている。
2023年10月にパレスチナ自治区ガザでイスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘が激化して以来、オーストラリア国内各地で親パレスチナの大規模デモや、ユダヤ系住民が多く暮らす地域などで、放火や落書きなどの事件が多発するようになっていたからだ。
オーストラリアのアルバニージー首相は、今回の事件を受けて「反ユダヤ主義の根絶に全力を尽くす」と強調した。しかし、今年9月の国連総会ではパレスチナ国家を承認するなど、パレスチナ寄りともされる姿勢を示してきたことから、ユダヤ人住民の間では、現労働党政権に対する反発が根強い。
事件発生から1週間後に行われた大規模追悼集会では、参加したアルバニージー首相に大きなブーイングが浴びせられる一幕もあった。














