銃撃犯に素手で立ち向かったシリア出身のイスラム教徒男性

事件発生直後の混乱の中で、通りすがりの男性が身を挺して容疑者の一人から銃を取り上げ、さらなる被害拡大を防いだ。このシリア出身のイスラム教徒、シドニー在住の果物店主アフメド・アル=アフメドさん(43)の勇気ある行動は、その一部始終が撮影され、その映像は瞬く間に世界中に広がった。

容疑者から銃を奪うアフメド・アル=アフメドさん(提供:豪CH7)

その後応戦した容疑者から6発の銃弾を浴び重傷を負って病院に搬送されたアフメドさんのもとへは、アルバニージー首相らが相次いで見舞いに訪れた。アメリカのトランプ大統領も「本当に勇敢な人で、尊敬する」と述べ、世界中からアフメドさんを支援したいとの声が高まり、日本円にして合計約2億5000万円の見舞金が贈られた。

病室でアルバニージー首相の見舞いを受けるアフメドさん

国や個人の信条、宗教の枠を超えたこの1人の個人の行動は、混乱、悲しみ、怒りの渦の中で、人間の善意と勇気が発揮された瞬間でもあった。