なぜ地域差が生まれたのか
全国的に多数派であり、明治時代に東京で生まれた「ふくじんづけ」という読み方に対して、なぜ「福神」という漢字を「ふくしん」と読む言い方が生まれ、このような地域差が生じたのかについては、明確な理由はわかっていないようです。
加藤名誉教授は、「肉まん」と「豚まん」の地域差のように、「肉」という言葉が東日本では豚肉を、西日本では牛肉を指すという食文化の違いから生まれた地域差とは異なり、「福神漬け」の読み方の違いは、地域性と結びつけることが難しいと指摘しています。
東京で生まれた漬物の名前である「ふくじんづけ」に対抗して、近畿地方で新たに「ふくしんづけ」が生まれたのでしょうか。この疑問に対する明確な答えは、現時点では得られそうにありません。
食べ物の呼び名の地域差には、その土地の文化や歴史を反映している場合もありますが、「福神漬け」の読み方の違いは、それが生まれた理由ははっきりしないものの、日本の食文化の多様性を示す一例と言えるでしょう。
加藤和夫
福井県生まれ。言語学者。金沢大学名誉教授。北陸の方言について長年研究。MROラジオ あさダッシュ!内コーナー「ねたのたね」で、方言や日本語に関する様々な話題を発信している。
※MROラジオ「あさダッシュ!」コーナー「ねたのたね」より再構成














