飲酒・ひき逃げ事犯に厳罰を求める遺族・関係者全国連絡協議会は23日、法制審議会刑事法部会が示した危険運転致死傷罪の改正試案について、法務大臣に要望書を提出する方針を決めました。同協議会は、特に飲酒運転の適用基準として示された数値について「甘すぎる」と指摘しています。

法務省は12月9日の同部会で、危険運転致死傷罪の適用基準として、呼気1リットルあたりのアルコール濃度を「0.5ミリグラム以上」とする試案を示しました。

これに対し要望書では、WHO=世界保健機関が「呼気1リットルあたり0.3ミリグラムで注意力や警戒心の低下、反応の遅延などの症状が出る」としている基準を引用。今回の試案は「死傷事故を起こした飲酒運転者に対して、あまりにも甘い数値」と厳しく批判しています。

その上で、アルコール濃度は時間とともに徐々に減衰していくため、数値基準を「0.3ミリグラム」にするべきだと主張しています。

また、設定された数値基準が実質的な下限となり、いわゆる「足切り」の目安とならないよう、実態に即した運用を強く要望しています。

2025年1月、遺族団体が要望書を法務大臣に提出

このほか、飲酒運転の厳罰化によって現場から逃走するドライバーが増える可能性を懸念。いわゆる「逃げ得」を防止するため、「過失運転アルコール等発覚免脱罪」について、現在の拘禁刑12年以下から14年以上に引き上げるよう求める方針です。