小児がんで闘病中の男の子「開けてびっくり!枕元に置いて寝ました」

福岡市の九州がんセンター。
小児病棟では、現在3歳から25歳までの18人が治療を続けている。
入院期間は半年~2年と長く、病棟には小学校と中学校の院内学級がある。

この日プレイルームに現れたサンタクロース。
プレゼントを手渡すと、180センチを超える大きな身体を揺らしながら、よくとおる大きな声で、こどもたちに話しかけた。

サンタさん
「私は、北極からやってきました。趣味は妻がつくるクリスマスケーキを食べること。おかげでお腹がこんなに大きくなりました。みんな、クリスマスケーキ、好きかな?」

サンタの言葉は全て、英語だ。
サンタの仲間が日本語で通訳していく。

「みんなからサンタさんに質問はないかな?」

サンタの隣でベルを鳴らしていた男性が子どもたちに問いかけた。

子どもたちはちょっと緊張した様子。
すると、後ろのほうに座っていた小学5年生の男の子が手をあげた。

「What color do you like?(好きな色は何ですか?)」

男の子は、英語で質問した。

サンタさん
「I like blue. because my eyes are blue!(青色が好きです。私の目が青だから!)」

男の子はこの時の気持ちを翌日、医療スタッフに教えてくれた。

小学5年生の男の子
「英語塾とかには行っていないけど、英語は小学校で習っているので興味を持っています。サンタさんが最初の自己紹介で『北極から来た』と言っていたので、英語の方が通じるのかな、と思い英語で質問しました。遠くからきてくれてうれしいな、サンタさんは何色が好きなのかな、と思いました」

サンタさんからのプレゼントは何だったのかな?

小学5年生の男の子
「恐竜が大好きで家にもいっぱいコレクションがあります。あのあと、サンタさんのプレゼントをあけてびっくり。ずっと欲しかったジュラシックパークのアロサウルスが入っていました。昨夜は枕元にアロサウルスをおいて寝ました」

九州がんセンターの古賀友紀医師は、こう話す。

九州がんセンター 小児・思春期腫瘍科 医長 古賀友紀さん
「きょうのイベントは、治療中の子どもたちにとって病院の中でも季節を感じられる大切な時間でした。サンタさんが小児病棟に来てくれて、子どもたちが思わず笑顔になる瞬間がたくさんありました。日々の医療の現場には、こうした特別な一日の背景に、治療や生活、家族の支えなど、言葉にしきれない物語が積み重なっています。小児がんは人数としては多くない一方で、地域の中で知ってもらえるだけで救われるご家族がいると感じています。これからも小児がんの子どもたち、家族のことをほんの片隅に置いていただけるとうれしいです」