あのグループは、SIMスワップ詐欺の参加者を募っていたのだ。

記者
「まだ捕まった人はいないですか?」
グループ
「いないっすね。僕が紹介した人も普通にできてますんで。証拠がないじゃないですか。お金(ATMから)出してたら明らかな証拠になってしまいますけど。だから警察もマークもできてないっていうか。(捜査に)力を入れることはできないっすね」
■「携帯電話、解約になってます」 1000万円送金される被害も…

日本でも既にSIMスワップ詐欺の被害が出ていた。神戸市で港湾運送の会社を経営する谷川龍二さん。2022年7月、突然、携帯電話が使えなくなったという。

谷川龍二さん
「仕事で携帯使ってるんで、普通にずっと使ってて。夕方3時に会議終わって、電話しようと思ってかけたら電波が立ってなかった。あれって」
故障を疑った谷川さんは、すぐに携帯ショップを訪れた。そこで店員から思いもよらない事実を告げられる。

谷川さん
「自分の電話番号とパスワードを(店の)端末に押すわけですよ。そしたらなんか顔色変わって、青ざめて戻ってきて『解約になってますわ』と。ええ?って言う話で」
詐欺グループが谷川さんのSIMを解約・再発行し、携帯の番号を乗っ取っていたのだ。

手続きが行われたのは神戸市から60キロ以上離れた、別の携帯ショップだった。店長が当時の状況を語った。

記者
「どういう方が来店された?」
携帯ショップの店長
「中年くらいの男性が来店された。免許証もちゃんと顔写真付きであって、(来店者が)顔写真とも一致しているので、確認させていただくのはお名前、住所、生年月日。そこの情報も相違がなかったので。現状は、僕らは目視確認なので、それが精巧に作られてしまうと正直どうしようもない」
携帯の解約を知らされた谷川さんは、すぐに銀行口座を確認したという。しかし、すでに多額の送金が行われた後だった。

記者
「どこかに送金された?」
谷川さん
「送金されたんです。約1000万ですね」

実は当時、銀行はこの送金を「不審」だと判断し、谷川さんの番号に確認の電話をかけていた。しかし電話は既に乗っ取られていて、詐欺グループにつながったとみられる。
谷川さん
「(送金先が)普段と違う所なので、(銀行は)すぐ電話かけたんだけど、(電話に出た相手が)「OK」って言ったんでしょうね。だから犯人ですよね」
新たな詐欺の手口「SIMスワップ詐欺」は、すでに日本でも広がっている可能性がある。大手銀行の関係者は危機感を募らせている。

大手銀行関係者
「SIMスワップ詐欺は、日本でも昨年末から確認され始めた最新の犯罪手法だ。携帯電話まで乗っ取られてしまえば、もはや本人確認のしようがない。どのような対策が有効か、今のところ思いつかない」

小川彩佳キャスター:
誰でも被害者になりうる可能性があるということで、非常に恐ろしいんですけれども、こうした被害から私達が身を守る術というのはあるんでしょうか?
調査報道ユニット 塩田アダム記者:
そうですね。今はあらゆるサービスがスマートフォンや携帯電話にも繋がっているわけです。そのセキュリティも、利用者が登録をした電話番号にかければ、利用者に繋がるっていうことが前提になっているわけです。それをSIMスワップ詐欺は、根底から覆してしまうという恐ろしい手法です。
大手銀行関係者の話を聞くと、いろんな対策をとっているんですけれども、一度、携帯電話が乗っ取られてしまえば、本人確認はもう取りようがないというふうな強い危機感を示していました。
正直言って、対策の取りようが具体的にはない、非常に厳しい状況なんですが、そもそも犯罪者に口座情報などを渡さないというふうな細心の注意が必要なんだと思います。
小川キャスター:
セキュリティの意識も知識も高めていくということですね。