100年経っても変わらない人間の本質と、繰り返された差別
(中田敦子記者)
「国の誤った政策によって、生涯にわたる隔離を強いられた人々。その過酷な暮らしの中でも希望を見出し、精一杯生きてこられた。入所者の取材を通して、私はその力強さに触れ、私自身が元気に生きる力をもらいました。
歴史の負の側面を伝えるとともに、療養所で生きてきた人々の人生そのものを伝えていくこと。それが私にできる大切なことだと感じています。
しかし、私たちはこの歴史から十分に学べているでしょうか。隔離政策が始まってから約100年が経った2020年、新型コロナウイルスの感染が拡大した時、人々はコロナを恐ろしい伝染病と位置づけ、感染者やその家族、医療従事者への差別が広がりました。SNSでは誹謗中傷が飛び交いました。
ハンセン病の強制隔離政策を推し進めた国や自治体の責任は重大です。しかし、ハンセン病を恐ろしい伝染病として差別し、遠ざけた一般市民たちも、その隔離に加担したと言えるのではないでしょうか。
異なるものを排除しようとする人間の本質は、100年経っても変わっていないのではないか。私はそう感じずにはいられませんでした。長島愛生園の入所者自治会長である中尾伸治さんも、『感染症の教訓が生かされていない』と語っています」














