冗談が現実となった1年4か月ぶりの「再会」

北朝鮮 平壌の子供たち(1997年撮影)

そんな日々が続き、拉致から1年4か月が経った頃、北朝鮮側から結婚の話が持ちかけられた。

地村保志さん「私はまだ当時23、24ぐらいでしたから、結婚する気もなかったし、ましてや朝鮮の人と結婚なんて考えてもいなかった。『私は日本に婚約者がいるんで結婚は今考えておりません。仮にその婚約者を連れてくるんだったら結婚しますよ』って冗談半分で言ってたんですよ」

すると、ある日、地村さんのいる招待所に一人の女性が連れてこられた。現れたのは、あの日生き別れたはずの婚約者、富貴惠さんだった。

地村保志さん「彼女が現れて、自分たちが同じように拉致されてきたんだなと(悟りました)。だから、いろんなアベック事件っていうのがありますけれども、私のケースが一番最初の結婚事例だったと思います」

その日から二人は一緒に生活することになった。結婚式も何もない、形式だけの結婚だった。